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※嵐山隊結成等捏造いっぱい

 いつものように狙撃の訓練をしていたら、見覚えのある顔があったので声を掛けることにした。
「佐鳥」
「なまえ先輩っ!あ、もう今日からただの佐鳥じゃなくて嵐山隊狙撃手佐鳥ですよっ」
「ふーん」
「なっ、どうでもよさそうっすね!」
 どうでもいいっちゃどうでもいいけど。佐鳥が他の隊に行ったことなんて。あー、もうこいつ別の隊の奴になったのか。いつか引き抜こうとか思ってたから少し悔しい。これはいつかやるランク戦でぶつけてやるしかない。八つ当たりみっともないとか言うな。
「嵐山隊はボーダーのイメージアップの活動とかもするみたいなんです」
 聞いてもないのに佐鳥は自分の隊について色々話してくる。私が気になるのはあんたが手にしているその二丁のイーグレットの方なんだけど。何でわざわざ二つも持っているんだろうか。
「ねえ、それ」
「あ、やっぱり気になりますかっ」
 よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに目を輝かせる佐鳥。そりゃ同じ狙撃手なんだから気になるところだろう。
「これは新必殺技なんです!ツイン狙撃の!」
 今日はそれの特訓に来たんですよー!とさらっというが必殺技って響きがちょっとあれじゃないか、いや佐鳥の年ならその発言も許されるのか。佐鳥の言うツイン狙撃って狙撃手になるにあたって調べたことあるけどかなり習得するの大変なはずなのだが。多分私が知っている限りそれをボーダーでやっている者はいない。
「……アイビスで一発で仕留めるとかじゃだめなの?」
 色々頭に浮かぶことはあったが、言えたのはそれだけだった。現に私はそういうやり方でここまで来たし。たしかになまえ先輩はアイビス好きですもんねー、と返されて同じ狙撃手だから当たり前と言えばそれまでなのだがちゃんとこいつ私のこと視野に入れているんだなあと少しだけどきっとしてしまったのは情けないので秘密だ。
「そういうのじゃなくて、オレだけのものがほしいんです」
 ほんの一瞬、いつもの佐鳥とは違う何を見据えているのかわからない真剣な目つきをしたので思わず息を呑む。もしかして、佐鳥は嵐山隊結成にあたって色々言われていることを知っているのだろうか。それを知った上で更に技術を身に付けようとか考えたのだろうか。ツイン狙撃に至った理由は今ひとつわからないが。こいつ表に出さないけど、色々考えたりするからなあ。その中に、私が少しでも居ればとかそんなことは今考えるべきことではない。
 すぐにいつもの調子になって「まあかっこいいでしょ?ツイン狙撃って」とあっけらからんと言うので調子が乱されっぱなしにならずには済んだ。
「威力も十分だし、かっこいいし、できるようになったらオレ女の子にモテモテになっちゃうかもしれませんね!」
「……それ言わなかったら完璧だったかもな」
「ええっ」
 じゃあなまえ先輩、これは佐鳥と先輩だけの秘密にしてください!佐鳥が何の気なく発した「秘密」という単語にまで動揺させられてしまうなんて、私は大分先ほどの奴に狂わされてるみたいだ。複雑な思いを色々抱えつつ、まあ私にできることがあったら協力するからと言えば佐鳥は嬉しそうに笑った。

20140812