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「#エロ」のBL小説を読む
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「なまえさん、これ見てくださいっ!」
 私の部屋にいるからかやけにそわそわとしている佐鳥に何かを押しつけられた。得意げな顔で見せつけられた写真にいたのはいつも知っている三枚目寄りの奴ではなかった。真剣な目でイーグレットを構えている。おそらくその視線の先にあるのは的か何かだろう。奴の好きな女子の前ではこんな顔できるはずがない。
 他の奴のも見せてもらった。今回の広報は嵐山隊に限らずA級をそれなりに満遍なく被写体に用いたようだ。おお、みんなすごいや。一部普段の姿からは想像できないような人もいる。特に佐鳥とか、あの一位の攻撃手の人とか。後者の方の名前はあえて出さないでおこう。
 もう一度、佐鳥の写真を見る。そして、そこから視線を外すと目の前には同一人物とは思えないようなふにゃふにゃとした顔をしているのがいる。なまえさん、このオレかっこよくないですか?だって。そういうのは第三者から言われるまで自分で言い出すものじゃないんだよ。私も第三者と言うほど遠い関係ではないのだが。あまり感情のこもっていない声でかっこいいねーと言ってやったのだが、やっぱりばれたようだ。もっと感情こめて!と文句を言われてしまった。だってそんな風に言うの恥ずかしいじゃないの。私には無理だよ、他の女の子に言ってもらえば?って提案しようかなんて思ったけどもしそれをのまれたら悔しいのでわめくんじゃないと人よりも露わになっているその額を小突いてやった。私はそこまで強くしたつもりはなかったのだが佐鳥にはだいぶきいたようで痛いと言ったと思えばごろりと床を転がった。そんなに痛かったのかと向こうを向く佐鳥の元に行き、顔をのぞき込もうとしたら腕を掴まれたと思えば私はさっきまで転がっていた奴の下にいた。
「ね、なまえさん。かっこよくできた佐鳥にご褒美ください」
 なんだ、広報じゃなくてもその顔できるんだ。佐鳥の下にいるのにやたらと間抜けな考えが過ぎった。背中に腕を回し、じゃあ佐鳥の好きにしていいよと意識していつもより甘めな声で言ってやると途端にその顔は崩れてしまった。うん、こっちの方がずっといい。さっきのままでいられると心臓がもちそうにないからね。その頼りなくてかっこいいとは言い難い顔がたまらなく好きで仕方がないの。

20141007
アニメ記念