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「#エロ」のBL小説を読む
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 私とカラ松くんは今日、初めて身体を重ねる。彼は私をすごく大切な宝物でも扱うかのように、優しく触れてくれる。その優しさからか、声を漏らす度に大丈夫か、とか尋ねてくるのはちょっと色々と察してほしいなとは思ったが。そこはやっぱり慣れていないんだなあ、本当に私が初めてなんだなと改めて実感できて嬉しくなった。
 唇、首筋、胸、お腹、色々なところにキスされて、もうしてないところなんてないんじゃないかって思っていたら脚の間に顔が埋められて思わず肩が跳ねる。まだ下着を脱いでいないとはいえ、待ってほしい。え、そこにもするの……? 今の今までその為に触れ合ってきたとはいえ、こう来るとは思ってなくて体が一気に強ばる。そんな私の動揺なんて知らないと言わんばかりに下着越しのそこに何かが当たる。敏感になっているから、少しの刺激でも反応してしまう。彼の熱い息が当たって、ぞわぞわする。身体中が熱くなってくる。これから私は一体どうなってしまうのだろうか。何度か擦られてはいるものの、直接触れられている訳ではないからもどかしい。早くどうにかなりたい。祈るようにカラ松くんの方に視線をやるとようやくそこからカラ松くんの顔が離れた。心なしか目が輝いていて、少しびっくりしているような気がする。
「やっぱり、違うんだな……」
 カラ松くんは小さく呟いたが、それ聞き流すことはできなかった。待って、今カラ松くんは私の(下着越しだが)そこに顔を埋めていたが、あれって何かと比べるための行為だったの? そう思った途端にもやもやするのがあらゆる刺激でふわふわしている頭でもわかった。カラ松くんは私の下着に手を掛け、いよいよ脱がそうとしているところに「待って」と制止の言葉を告げる。多分他の男の人だったら照れ隠しだと思って私の言葉なんて聞き入れてくれてないのだろうけど、カラ松くんはちゃんと動き止めてくれる。それでも、少し辛そうではあるが。

「……どうしたんだ、なまえ?」
「……わたしのが、何と違うって思ったの?」
「え、あ、匂いが」
「匂い?」

 そう聞き返すとカラ松くんはまずい、とでも言いたげな顔をして私から目を逸らした。私の問いかけには答える気はないようだ。えっと、そもそもさっきのカラ松くんは匂い嗅ぐために顔埋めてたの? それはそれで十分恥ずかしい。それで、何かと匂いが違うって言って……匂いが違う? 何と? 多分、その対象が後ろめたくなかったら今頃その正体はわかっているだろう。まだわからないから、そういうことなのだろう。……カラ松くんって、私以外の女の人のあそこの匂い知ってるの? カラ松くん実は風俗とかで筆下ろしまでは行かなかったけど途中まではしててそこの匂い嗅がせてもらったことがあるってこと? そうなると、全部私が初めてで、私に捧げられることが幸せとか言っていたのは嘘だってことになる。

「どういうことか話してもらいたいんだけど」
「いや、その……」
「言いたくないなら私以外で童貞卒業してね」

 そんなのいやだけど、こんなもやもやしている状態でこの先の行為なんてできない。したくない。下を見やった時、カラ松くんの下半身がズボン越しでもわかるほどの主張をしていたけど知らないふりをする。上半身裸のカラ松くんと、乱れた服装の私が向き合う光景は傍から見たらシュールかもしれないが、事態が事態なので仕方がない。この後どうなるかもわからないから直すこともできないし。
「それは困る。なまえにしか捧げたくない」
 そこでそんなことを言って真っ直ぐ目を見られると、困る。でもこんなので誤魔化されてあげないから。
「なら、ちゃんと話して。全部初めてなんて嘘ついてた人に私の処女あげたくない。他の女の人のそういうところの匂い知ってて全部初めてとか信じられないよ」
 私が処女というワードを口に出すだけで顔を赤くさせるなんて、やっぱり初なんだよなあ。本当だったら今頃そうじゃなくなってたのかなあ、なんて。カラ松くんはようやく決心がついたのか、諦めたのか今までより一層真剣な顔をしながら口を開いた。

「……かつての孤独を癒すための淫靡なる書物……小悪魔のパフュームを纏いしデルタ……」
「ごめん日本語喋って」
「え、えっちな本の付録の匂い付きパンツ……」

 カラ松くんの言葉に一気に力が抜けるのがわかる。ああ、そういう本ってそんなものまで付録になったりするんだ。私には新しい世界だ。カラ松くんはそれの匂いと、私のと……これ以上考えるのはよそう。どうあがいてもしょうもない字面になる。とりあえず、カラ松くんはちゃんと私とが初めてのようだ。私がこれ以上機嫌を損ねる理由はなくなった。誤解が解けた今も今で、気まずいのか恥ずかしいのかカラ松くんはまた私から目を逸らす。いや、気持ちはわかるよ。私のせいだけど。
「……えっと、言わせちゃってごめんね……?」
「い、いや俺も悪いしなまえの誤解が解けたならそれでいい……」
 カラ松くんは優しく私を抱きしめてくれた。それでも、私の腰に当たる彼の熱は正直だ。カラ松くんは「今度こそ、いいか?」と耳元で囁き先程
脱がせられなかった下着に手を掛けた。彼の背中に腕を回すのが私の答えだ。