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何が悲しくて、クリスマスイブに呪霊なんかの相手をしないといけないのだろうか。あいつらにそういう概念はないのはわかってはいるものの、不貞腐れずにはいられない。
無事任務を終えることができた、というところで時計を見たら20時を過ぎていた。あと4時間もしないうちに今日は終わり、クリスマス本番となってしまう。このまま帰っても、一人で酒をあおって値下げされたケーキやチキンを齧って終わりになってしまう。今日がイブで、明日クリスマスならまだケーキとかも安くならないか?わかんない。とにかく、このまま一人で帰るのは寂しい。今日の任務の同行者が、誘いやすい人なのがせめてもの救いだ。冥さんを巻き込むとしよう。

「冥さんこの後暇ですか?」
「用件によるな」
正直だな。この人のそういうところ嫌いじゃない。
「この後、わたしの家来ませんか?ケーキとか食べましょ」
冥さんは笑みを浮かべる。多分、あれに関することを言うのだろう。
「……今夜の私は高いぞ」
「出世払いでお願いします」
「なまえ、それ言うの何回目だ?」
案の定の答えに、わたしもいつも通りに返す。回数はわからないが、冥さんがお金のことを持ちかけるたびに言っているから結構な数になると思う。だって冥さんすぐお金取ろうとしてくるんだもん。冥さんも冥さんで、わたしがそう言うとわかっていて持ちかけてくる気がする。
「まあ、急な任務で約束を蹴って暇だから付き合えるよ」
「やったー」
冥さんの約束、何だろう。イブに約束ってただならぬ気がするけど、いいのだろうか。まあ、冥さんが焦った様子を見せる事なくいつも通りということは、あちらから取り付けた約束なのだろう。ちょっとモヤモヤするけど、蓋を開けてみればわたしが冥さんのイブの夜を独り占めだ。知りもしない約束相手に対して優越感を覚える。
「うちに冥さんの好きな日本酒置いてあるんで飲みましょ」
「気が利くじゃないか」
「そんな利口な後輩にご褒美ください!」
「私から何かせびるなんていい度胸だな」

こんな風に言ってたものの、冥さんはなんだかんだでケーキとチキン(結局値引きされてた)を買ってくれた。やったね。