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「#エロ」のBL小説を読む
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 ぎしり、と音を立てながらベッドが沈む。どうやら誰かがベッドに乗ってきたようだ、と覚醒しきっていない頭でぼんやりと考えた。……いや待て。誰が、乗ってきたのだろうか。この部屋には、この家には、現在私以外には誰もいないはずだ。不審者か、はたまた物理攻撃が効かない奇怪なモノか。何だか嫌な予感がする。やけに瞼が重くてなかなか確かめることができない。
 何とか目を開け、ベッドに乗ってきたモノの正体を知ることができたのだが、正直なところ不審者とかそういった非科学的なモノの方が良かったと思う。どちらにせよ先程の嫌な予感は的中していた。
 目の前の男は起き抜けに仮にも恋人に対して、随分失礼なこと考えてるなあとぬかしているが勝手に人の思考を汲み取る奴の方がよっぽどの無礼者だと思う。目の前の男は相変わらず胡散臭く笑う。
 それにしてもこの男、翔一は何をしにここに来たのだろうか。うん、どのようにしてこの家に入ってきたのかは追及するのはやめておこう。色々怖いし。それは正しい判断だと頭を撫でられる。だから、心を読むな。そして、どういう意味だ。
 色々と疑念を抱いていると、肩を軽く押され先程までと同様の寝る体勢に。異なる点を挙げるとするならば、翔一が私の上にいるということぐらいか。その一つの異なる点が私にとっては非常にまずいことなのだけど。こいつ、最初からそういうつもりだったのか。
 苦虫を噛み潰したような顔をすれば眉間に唇を落とされた。宥める、というよりもそんな顔をしても怖くないと言うかのように。言うかのように、ではなくそれに違いない。いちいち癪な男だ。
 最初から、そういうつもりではなかった。なんて今更白々しい。そこまで言うなら自分の格好を見てみろって。……下着同然の格好だ。まあ寝苦しかったし、翔一が来るなんて思いもしなかったからね。勝手に来ておいて据え膳食わぬは何とやら、なんて。自分勝手もいいところだ。
 後輩には妖怪だのサトリだのと称されてるのに、そういうところはその辺の男子高生のそれと同じなんだ。かといって、他の男子高生のそれというものは知らないけれども。
 休日の朝は、私が圧倒的に不利な攻防戦から始まった。

20120904