小説 | ナノ
おー、緑茶だ。今回はココアじゃないんだね。ありがと。さて何を話してたんだっけ?ああそうだ座敷童子がどうとかそういう話だったっけ?そうなんだよ最近ウチに座敷童子が現れるんだよ。はあ?病院?頭の検査?馬鹿言うな私は正常だよ!逆に私は君を病院に連れて行きたいくらいだよ。だってさっき屋根のところから落っこちたんだよ君。頭大丈夫?何ギター庇ってんだよ。まぁ君が大丈夫ってんなら別にいいんだけどさ。頭はなるべく大切にした方がいいよ。

で、座敷童子の話だよ座敷童子。私の家分かる?ああ、そうそうカラ松は入ったことないけど、あのアパートの前まで来たことあるよね。早あがりで仕事から帰って家に入るとさー、いるんだよね…部屋の隅にさ…座敷童子。膝抱えてボソボソ「おかえり」って言ってくんのね。外から微妙に光が入ってこない場所で膝を抱えてるからすっごいビビるんだけど「ただいま」って言うとビミョーに、本当にビミョーに笑ってくれるから、まぁ良いんだけどさー。アポなしっていうのが…いっつもアポなしだからそろそろ連絡を入れてくれてもって感じで言うんだけどなかなか聞く耳を持ってくれないっていうかさ。

今思うと初動を間違えたのかなーって。鍵を持ってもらうのは早計だったかなって思うんだけど、私の帰りを待つ以外、別段悪いことはしてないから…むしろ一人暮らしだから「おかえり」って言ってくれるのが嬉しくて嬉しくて…でも、でもなー!沢山会えるのは嬉しいし、沢山話せるのも嬉しいんだけど本当に予期してなかったときに、さも当然であるかの如くそこにいるから本当にビビるんだよね。どうにかしてくれよカラえも〜〜ん!

ふう。あ、お茶に茶柱立ってる。いいことあるかも。……いてててて。んー、いや今唇の裏側に口内炎があるんだよ。沁みる痛い。ちなみにこれ座敷童子がやったんだよ。いや病院行くほどの痛みじゃ…?って頭の病院の方かよ!ちがうよ!いつまでそのネタ引っ張るんだよ!もう察してよ君の弟のことをさっきから言ってるんだよ!てか今まで分からなかったのかよ!空気読んでよ!「俺は風の声しか聞かない」?何言ってんの本当に…

え、口内炎について掘り下げちゃう?まぁ減るもんでもないしいいけど。ほら、つい最近風の強い日あったでしょ。うん、まぁお察しの通りその夜に私は彼に鍵を渡したんだけど、何故か流れでキスしたんだよね。いや天ぷらとかそういうボケは要らないから。何ていうかその場のノリとか勢いでしちゃったんだけど、一回目勢い余って歯と歯がガチッとぶつかっちゃってさ…めちゃくちゃ痛くて死ぬかと思った…。それで血が出て慌てて口を濯ぎに行ったんだよね。本当に痛かった…これはそのときの傷だよ。

うん?二回目?はて私はそんなことを言ったかな…なにニヤニヤしてんのカラ松。なにニヤニヤしてんの。別に面白い話じゃないよ。テイク2しただけだよ。顔赤くないよ別に。……。はいお茶飲み干したからもう一杯下さい!

あー、カラ松のせいで口内炎が痛む。
……………。

ん、おかえりカラ松。はいお茶ありがとう。えっ、またその話するの?何なの女子なの?やだよ恥ずかしい。ブラザーの成長を見届けたい…ってもっともらしい理由っぽく言ってるけどただの野次馬根性でしょ。一松くん本人に聞いたらいいじゃん兄弟なんだから。「静寂と孤独が俺を離さない限りブラザーとの魂の邂逅は不可能…」って、やっぱり打ちどころが悪かったんだよカラ松今から一緒に病院行こう…ほら何かめちゃくちゃ青ざめてるし、ていうか何指差してるの?そんなお化けを見るみたいな顔を

あれ、一松くんだ。おかえり。
どうしたの…お顔が、お顔がこわいよ…

いやっ、いやいやいや違うよ。いちゃいちゃとかそういうんじゃないよ。カラ松がさっき屋根から落ちて頭打って、あまりにもイタい発言ばかりするから病院に連れて行こうと腕を掴んだだけであって…まっ、まままま待って何イタタタ腕が痛いよ一松くん!しかも首ホールドからの引きずり!待って一体どこに行くつもりなの!?トイレ!?やだな一松くん、君女子かよ!連れションとか女子かよ!「ナマエ一緒にトイレ行かない〜?」って妙な女声で言うの止めてくれる!?意外とノリいいな!わー待って待って何でトイレなの居間でいいでしょ何で鍵までしめるの!本当にトイレ使いたい人が困るでしょ!二階にもあるから大丈夫ってそういう問題じゃな

以後、小一時間ほど松野家一階のトイレの戸、開かず。

(20160113)
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