SS | ナノ

Diary

day | site | other ]



 
死は神というものが決めたものだと母は言った。母はとある宗教の熱心な信者である。母は身近な人間が早く死ぬと「早いわね。かわいそうに」と言う。

はて、神は?
神が死を決めたのではないのか。母は神を信じているそうだ。母は神というものを自らの体内で都合のよいものへと捉えているらしい。

私は初めて母を馬鹿にした。神がいるならば、なぜ箱舟は流れたのか。


Noah's Ark


神は個人の中に都合よく生成されるものだ。けれど縋り付くものがあるということは精神が安定することに繋がる。それが神。


comment:(0)
2011/12/30 (02:26)


 善人と悪人は紙一重


―警部、お願いします。


「いやあ、キミは素晴らしい人間だよ。自らの人生というものを顧みずに犯罪に手を染め、逃げる頭もないくせに何度も何度も犯行を繰り返している。挙げ句こうして僕に捕まっているのだから滑稽としか言えないね。たかが万引きと思って物を盗るなんて馬鹿だねキミ。軽犯罪だと思った?出来心?ゲーム感覚?それともやらないといけない何か原因でもあった?もしあるなら聞かせてほしいよ。さぞ普通の人間には到底思い付かないような素晴らしい答えなんだろうね。言っておくけど店の商品は金を払って買うもの。払わなければ窃盗、強引に盗めば強盗ですよ。あ、これ社会の常識ですよー。知らなかったとは言わせませんよ?三歳の子供でも親から厳しく言われて刷り込まれるものなのに知らないとかないよね。まあでもね、キミが万引きという犯罪行為、罪を犯してくれたおかげで僕たち警察という組織は犯罪者という社会の害を一つ取り除けたわけだからね。ありがとうと言っておく。けどキミは万引きを何度もしているからー…起訴されて裁判になり懲役刑をくらう可能性は多いにあるよ。それから刑に伏して、何年も経って刑務所から出た時、キミに対して周囲の目は明らかに変わっている。刑が終わっても前科持ちと指を差されるかもしれないし、犯罪者と罵倒されるかもしれない。………そんな人生でもいいならどうぞ罪を犯してください。社会に張られた最低限のルールを守れない人間のクズになりたいのでしたら、手っ取り早く犯罪者になることをオススメします」


―以上、警部による事情聴取時のお説教でした。小学生の皆さん是非気をつけてくださいね。警部の聴取は全国一ですから、一度やられると社会復帰が難しくなります。


comment:(0)
2011/12/21 (00:18)


 海に沈めや
波間に漂うな。現れるな。浮かぶな。泳ぐな。海に沈めや。

「ブーメランパンツ履いてきたくらいで怒らないでよ」



おわり



なんかムラッときたので


comment:(0)
2011/11/30 (02:31)


 あんどろいど/ミナト

僕は、こぽこぽと気泡を発する容器の中に丸まっていた。正確には眠っていた。長いチューブが背中に数本ついていて、いつもそこからご飯を食べている。そうして生きていたらしい。

ある日、目が覚めた。

視界はうっすら緑がかっている。フィルターを被せたようにぼやける目を細めていると息が苦しくなった。背中にあったチューブが外れているのに気づいた。僕はご飯が食べれないことを理解すると頭の中がぐちゃぐちゃになった。あっつくなって、冷たくなって、頭の中がぐるぐる回転した。そうやってもがいていたら、容器の外に影が来た。真っ白の影は両手を何度も弾くように重ねたり離したりを繰り返す。今思えばそれは拍手というものだった。

苦しい、息が止まると思った。瞬間、容器の中にあった液体が消えていく。ゆっくりゆっくりと液はなくなった。僕の顔が初めて空気というものに触れ、次は首、次は胸と徐々に下がっていく。緑のフィルターはなくなった。重力を感じて体が震える。

「誕生おめでとう」

真っ白の影は僕を見て言った。その意味は今も分からない。この先、僕はどうなるのかそれも分からない。ただ言えること、僕は生まれた。



―あんどろいど みなと



 


comment:(0)
2011/11/21 (15:52)


 折れたポッ〇ー/ミナト
※出遅れましたが11月11日の話しです



「ポッキー!」
じゃじゃーんという効果音をセルフ、自らの口から発した四代目。恥ずかしさを感じたりしないのか疑問だが、それよりも何言ってんだろうと思ったことの方が大きかった。
『ん?』
「だからポッキー!」
『え、まあ、ポッキーですね』
四代目は両手にポッキーを一本ずつ持ち、目を輝かせている。これをどうしろと、食べればいいのか。
「じゅういちがつじゅういちにちはぽつきーの日です」
『ふて腐れないでくださいよ。仮にも四代目ですよね?強いんですよね?今なら私でも倒せそうな気がする』
「あはは」
なぜ笑う。
『で、そのポッキーを私に差し出してどうしたいんですか。まさか王道のポッキーゲームをしたいなんて言いだしませんよね』
「その通りです。はい、口開けて」
『やるわけないですよ』
「ん、一人でポッキーゲームは出来ないんだよ。それくらい分かるでしょ?」
軽く馬鹿にされたような、気のせいか。ぼんやりしている間にポッキーが迫ってくる。
「あーん」
『無理、セクハラです』
「えー」
『無理無理無理無理無理』
―ぽき

「あああ、折れた!」
『さっきのは完全にセクハラでしたからね。謝りませんよっ』
「ん、プリッツあるから大丈夫」



おわり





なんだろう。すみません。ギャグテイストは難しい。


comment:(0)
2011/11/12 (02:51)


prev / next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -