加勢?
真っ黒な建物。
辺りの空は毒々しい色をしており、地面に生えた草でさえも、灰色に変色している。
「魔物の城‥‥気味悪いな」
ナガは吐き捨てるように言い、
(ここに、シェイアードさんはいるのかな‥‥)
リオは建物を見上げた。そこで、急にリオが剣に手をかけるので、
「どうした?」
イリスがそれに気づき、
「何か、来る?たぶん‥‥」
リオは小さく言い、
「魔物か!?」
ナガも剣の柄に触れ、
「グギャァアーー!!!!」
リオの予想通り、魔物が現れた。
(おかしい‥‥魔物の気配?肌に電気が走るような‥‥前まで魔物の気配に気づけなかったのに)
リオはそんなことを考えつつ、軽く首を横に振り、剣を抜く。
「こんくらいの魔物なら、数分ありゃいけるな」
ナガが言い、
「ああ!行くぞ!」
イリスも剣を構え、魔物を斬り込みに行った。
ナガとイリスが前線に出たので、
「ルイナ女王は私の後ろに‥‥」
と、リオはルイナの前に立つ。
「では、私は魔術で援護します!」
ルイナはそう言うと、彼女の持つ杖が青白く光り、雷を纏った魔術でできた弓矢のようなものが魔物めがけて飛んでいく。
(呪文なしで魔術を!?そうか、この世界では魔術は当たり前にあって、誰にでも使えるんだったな)
リオはルイナが放った魔術を見つめながら思った。
『グギャアァアァアアアアァアーー!!!』
ルイナの魔術は一撃で魔物の群れを仕留める。
「えっ、すごっ‥‥」
リオは小さく声を漏らした。
「さすがルイナ様!!」
イリスは感激している。
「よしっ!じゃあ乗り込むぜ!」
ナガが言い、何か違和感を感じつつも、リオは不気味な魔物の城の城内へと足を踏み入れた。
「真っ暗だ‥‥」
リオはぽつりと呟く。
城内は不気味な程に薄暗く、所々にクモの巣が張ってある。
「それに静かだな」
「薄気味悪い‥‥」
ナガとイリスが辺りを見回しながら言い、
(シェイアードさん‥‥)
本当に、こんな所に彼はいるのだろうかと、リオは不安になった。
すると、
「リオ!!危ないですーー!!」
ルイナの叫びにリオは慌てて顔を上げる。
リオが辺りから気を逸らしている間に、またも魔物達に囲まれていた。先程よりも、更に大群だ。
「しまっ‥‥」
リオに向かって大群の一部が飛びかかってくる。
剣を腰にしまい直していたので、リオはそのまま身動きがとれず硬直してしまい、以前まで、ピンチの時に脳内に過ったのはシュイアだったが‥‥
(ーーシェイアードさん‥‥!!!)
彼の姿が過った。
ザシューー!!
‥‥すると、魔物を斬りつける音が響く。
見覚えのある剣筋が目に映った。
そして、金色と黒が‥‥
「えっ‥‥なんで‥‥」
リオは我に返り、自らも慌てて剣を抜く。
リオの望んだ人物とは違う者が現れたのだ。
「リオ君ーー!!!」
「ぐえっ‥‥」
聞き覚えのある声と、よく知っているこの動作‥‥リオに抱きついてきたのは、
「は‥‥ハトネ!?」
「良かったぁ!リオ君、生きてたぁぁぁ!!」
彼女だった。
「どっ、どうしてハトネが!?それより‥‥」
リオはもう一人、次々に魔物を斬り倒していく男を見る。
「なっ、なんで、なんでカシルが‥‥」
「剣を抜いてるならお前も戦え、小僧」
男ーーカシルはそう言い、そのまま魔物を斬る剣を休めない。
「だっ、誰だ?」
イリス達はポカンと口を開けている。
「‥‥よくわかんねぇが、俺達も行くぞ!」
ナガは剣を構え直した。
(なんかもう‥‥わけがわからない!!!)
状況の掴めない事態に、リオはますます困惑していた。