トレジャーハンタージロウ
オレの名前はジロウ。
今年で二十歳になる。
職業はトレジャーハンターだ。
…と言っても、無職って宣言してるようなもんだが。
父もかつてトレジャーハンターであり、とある洞窟で大怪我をしたところ、法術師であった母に治療してもらい、なんだかんだで二人は恋に落ちてオレが産まれたんだとか。
まあ、そんなこんなで、オレは今、銅がよく発掘される鉱山の中を探索中なのである。
トレジャーハンターを始めてまだ日は浅く、相棒も居ない為、まずは攻略が簡単そうな手短な鉱山ばかりで修行中だ。
銅も一応は売り物にはなるが、珍しくない代物である為、10個で一纏めで買い取ってもらえ、10ドルといった感じである。
と言うことは、1個たった1ドル…
10ドルなんて、小さな子供が駄菓子屋でおやつ一つ買う分だ。
やはり金銀にはかなり劣る。
(やっと、10個目、っと)
オレは小型のトンカチで鉱山の壁を打ち付け、銅を見つけては掘り出し、袋の中に入れた。
(はぁ、地味な作業だぜ)
オレは心の中でため息を吐く。
トレジャーハンターになんて、なりたいわけじゃなかった。
しかし、今年で二十歳。
学校を卒業してから特に職業も見つからず、家に居た。
そしたらとうとう、
「ジロウ!あんたはぐーたらぐーたらと!早く仕事を探しなさい!もう二十歳になるのよ?!恥ずかしい!お隣の娘さんなんてもう立派な職業に〜…」
などと、恐い母がそう怒り、
「ジロウ、父さんが昔やっていた、トレジャーハンターをしてみたらどうだ?この職業は勉強しなくとも誰にだって就ける。ただ、危険な場所も多いから、簡単な場所で小遣い稼ぎだと思ってお宝を見つければいい。ほら、道具なら父さんが昔使っていたのがあるから〜…」
などと、優しい父に言われて。
それで、オレは渋々トレジャーハンターを始めた。
(はぁー。銅を100個集めて100ドル。1000個集めて1000ドル。10000個集めて……なんちゅー途方もねぇ話だよ、これ)
しかし、オレの実力では、まだ銀や金が埋まる鉱山へは赴けない。
オレは地道に銅鉱山で銅を掘り出しながら、ちゃんと勉強して、ちゃんとした職業に就くべきだったと、最近では毎日後悔しているのだった。