short*APH | ナノ

// 抱き締めてていいか?ってかそうさせてくれ


※とてつもなく短いです





「好き…です、アーサー先輩。」

リクエスト通りもう一度思いを伝えれば、先輩はまた耳元で囁いた。

「なぁ…このまま抱き締めてていいか?ってかそうさせてくれ…。」

本当は大好きな先輩の顔が見たいんだけど、今俺嬉しすぎて顔ヤバいからと断られた。
ぴったりとくっついた背中からアーサー先輩の胸の鼓動が伝わってきそうだ。

「こんな幸せでいいのかな…都合良すぎるだろ…夢じゃないんだよな?」

夢、か…。
そうだよね、私がアーサー先輩の立場だったら、きっと同じ事を考えたと思う。
だって恋煩いに悩むくらい想った相手も自分の事が好きだった、なんて都合がいいにも程があるんだもの。
まるで幸せな夢を見ているみたい。
暖かくて、安心できて、心地よくて、幸せで。
でもそれでいてすぐに消えてしまいそうな儚さ。

夢、だったら嫌だな…。
幸せな夢から醒めた後に残るのはいつだって虚無感だ。
夢から醒めた後の現実は見た夢が幸せであればあるほど、残酷なのだから。

何でもいいから今のこのぬくもりが都合のいい幻なんかじゃないって確証が欲しい。

だから私は、ぎゅっと腰に回されたアーサー先輩の腕を取り、白い手の甲に唇を寄せた。

「夢なんかじゃないです…。」

そしてそのまま指に舌を這わせ、指先を口に含んで甘噛みした。

「だってほら、ちゃんと痛いでしょう?」

我ながらちょっとベタだったかな?とは思う。
だけどベタにはベタなりに、使い古されるだけの理由があるのだ。

「っ…反則だよばか…!」

アーサー先輩は腰に回した腕を解き、私の肩を掴んで振り向かせた。
時間にすると5分も経ってないはずなのだけどアーサー先輩の顔を見るのが何だかすごく久しぶりな気がする。

「…みょうじ…いや、なまえ!」

久しぶりに対面した太い眉毛が特徴的な彼の端正なお顔はこれ以上ないくらい、真っ赤だった。

「俺と付き合ってくれ!」




つづく



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