バウヒニアの花言葉 | ナノ


高校に入学するにあたって思い切って真っ黒だった髪を染めた。
今日からから私の通うことになる高校は少し特殊で服装に関する規定なんてあってないようなもの。だから思い切って、大好きなアニメのキャラクターと同じ髪色にしたんだ。

きゅっと頭の高い位置で左右に髪を結んだ。
ずっと憧れていたハイツインテール。無駄に校則の厳しかった中学じゃ“耳より高い位置で結んではダメ”なんて規則があって出来なかったんだよね。
赤い香港蘭をモチーフにした髪飾り(もちろんこれもアニメのキャラクターのものである)を着ければ完成。
頭を動かす度に揺れる髪がなんとなく嬉しい。

「あっ、そうだ!あれ着けないと!」

と、私はあるものの存在を思い出し、自室の机の上にあるアクセサリーボックスを漁った。
キラリ光を反射するそれはバウヒニアをモチーフとしたシルバー製のペンダント。
高校に合格した時に自分へのご褒美として買ったものだ。中学生のお小遣いで買うには些か高額だったんだけど、お店で見たとき“これだっ!”って運命を感じたから悩みに悩んだ挙げ句買うことにした。物との出会いも一期一会、たまにあるよね“私が買わず誰が買う”みたいな商品。このペンダントもまさしくそんな感じだった。
満足気にそれを眺めた私はシルバーのチェーンを首の後で留めた。

「うん、やっぱ買って正解だった!」

控え目だけど静かに存在感を主張するそれは思っていた以上に素敵。
今までとは違う髪型をして、真新しい制服に身を包んだ自分を鏡に映せばなんだか新しい自分になれる気がして。

「さぁて、そろそろ行きますか!」

胸元で輝くバウヒニアに、これからの高校生活へのありったけの希望と期待を抱いて、私は自室を後にした。

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