バウヒニアの花言葉 | ナノ



ちょっとしたハプニングのあった海水浴から戻り、フランシス副会長とルート先輩とにーにが腕によりをかけて用意してくれた美味しい夕飯をみんなでお腹いっぱい食べて(先日の部内ミーティングの際にルート先輩が不在だったのはこの打ち合わせの為だったようだ)、会長自慢の露天風呂を湾ちゃんとふたりきりで堪能した後。

割り当てられたツインベッドの二人部屋に戻り、フカフカのベッドに腰掛け彼女のイチオシスキンケア用品を借りたり最近流行っているらしいファッションや近くに出来た小洒落たカフェの話に花を咲かせていたところで…。

「ちょりーっす。大将今日やってるー?みたいな。」
「…馴染みの居酒屋みたいなノリで秘密の花園に乱入するのやめてもらえますか。」

奴はやってきたのであった。

「おー!いらっしゃい香!とりあえず座りなヨー!」

と、突然の来訪者に湾ちゃんは一切動じることなく席を勧める。
それじゃ遠慮なく、と奴は何故か私のベッドにダイブ。ギシリと音を立ててスプリングが軋んだ。

「…で、一体何しにきたのかな?」
「男部屋のあまりのむさくるしさに耐えられずに自由を求めてさ迷ってた感じ。ベッドうらやまー、ふかふか最高かよー的な。」

私と湾ちゃんにはシングルベッドが2つ並んだ洋室の客間が宛てがわれているが、男性陣は(せめてもの合宿らしさを演出する為に)畳張りの大広間に布団を敷いて雑魚寝らしい。

「アルはポテチ散らかすし菊は隅でラノベ読んでるしフランシスとギルとフェリっちは女体の神秘について語り合ってるしほんと散々。ずっと先生とルートとイヴァンさんとトランプしてたんだけど流石に飽きてここまで来た。」

ゴロゴロ、ゴロゴロ。
話しながらも触感を楽しむように香くんはベッドの上をゴロゴロと転がり続ける。
洗い立てでふわふわだったブランケットはぺったんこ、ノリの効いていたシーツはしわくちゃだ。
嗚呼、無情…私の今夜の寝床(らくえん)が崩壊していく…。

「そんなわけだから今から何して遊ぶ?なまえの描いたBL原稿にガチめの感想ぶつけあったりしちゃう?」

そう言って香くんは転がったままベッドサイドに立て掛けておいた私の部活用バッグ(同人誌を入れるのに丁度いいサイズ)に手を伸ばした。

「ちょ、やめて!っていうか描いてないから!!」
「いいネー!私もなまえセンセの新刊早く見たいヨー!!」

「いや?マジで描いてないですからね!?」

まさかの湾ちゃんまで参戦。
なんか恥ずかしいからやめてほしいぞ!
と、悪友たちが私の部活道具を漁り始めたところでノック音が響いた。
ーートントン。

「はーい!ドウゾー!」

ーーガチャリ。
湾ちゃんの返事の数秒後に顔を覗かせたのはこの館の主、アーサー会長だった。


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