バウヒニアの花言葉 | ナノ





「え…ちょっとなまえ…もしかしてそれでビーチに出るつもりなノ…?」

着替えを済ませて更衣室から出てきた私を見るなり、先に外で待っていた湾ちゃんの笑顔はあからさまに引きつったものになった。
というかもはや笑えていなかった。


合宿所到着から約1時間。
オリエンテーション(会長の長話と本田部長の挨拶)と施設の案内、宿泊する部屋の説明を終えた私達は合宿のしおりのスケジュール通り海水浴を満喫することとなった。
海沿いの小高い丘の上にある見晴らし最高の合宿所(というよりは洋館という響きがしっくりくる立派なお屋敷)から歩いて10分。
洋館の所有者のプライベートビーチというその場所には更衣室やシャワールームはもちろん、BBQが出来る設備に休憩用の小屋(小屋と言っても何の支障もなく生活出来るレベルの家)まで完備されていた。
高校生の合宿ごときにこんな至れり尽せりラジパンダリーなプライベートビーチとやらを気前よく貸出してくれる持ち主の顔が見てみたい。
出来れば跡部様だったらいいな。
庭にテニスコートあったしワンチャンあるかも。


で、話は戻って水着の話。

「うん、私泳ぐの得意じゃないしこれでいいかなーって。」
「いや、でもそれっテ…」

抜群のスタイルを惜しげもなく晒すビキニ姿の湾ちゃんが引いていたみょうじ・生物学上は女(死語)・コレクションもとい私のビーチファッション、それは…

「学校の体操着じゃなイ〜!!」

そう、我が私立欧亜高等学校指定体育服(上下セット)だった。

「いやぁ、体操着なら動きやすくていいかなーって。これなら気兼ねなくビーチバレーとか出来そうだし足くらいなら海にも入れそうだしさ。」
「イヤイヤ!そういう問題じゃないデショ!?せっかくの夏の海なんだしオシャレでcawaii格好とかしたくならないノ!!?」
「お、オシャレでcawaii格好…?」

と、珍しく激しいツッコミを入れる湾ちゃんに内心驚きつつ考えてみる。
まず平日は学校と家の往復だから制服でしょ?
帰宅したらしたで即部屋着に着替えるから私服を着る機会はほとんどない。
休日もだいたい一日中部屋着でヲタ活してるし、出かける時は中学の頃からの特にこだわりのない私服をこだわりなく着て出掛けてる、かな…。
確かにあんまり服とか興味なかったかも…これでいいのか現役JK…!!

「…湾ちゃん、合宿終わったら服選ぶの付き合って。」
「…よしよし、自分で気付けたネ、いいこだネ。」

じゃあ気を取り直してみんなのとこ行こっカ!という湾ちゃんに手を引かれ、私達は男性陣と合流することにした。


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