バウヒニアの花言葉 | ナノ



クリスマスケーキのクリームは何ケーキのものが1番美味なのか。

悩みに悩みに悩み抜いた結果、特段予定のないロンリークリスマスは終わっていた。
いや、いくら私がスイーツや可愛いものに目がない可憐な、花も恥じらうピッチピチ(死語)のJKだとしても日がな1日ケーキの事ばかり考えて過ごしていたわけではない。
冬休みに入って何やかんや(大半が冬コミ関係)考えてその合間にケーキのクリームについて考えていたら今年の12月25日は終わってしまっていたのだ。
…そんなのって、そんなのって、JKとして、どうなの?

自室のベッドの上で寝返りをひとつ。

あ、一応言わせて頂くならばせめてものクリスマスっぽさと言うことで近所のロ●ソンで叩き売られてきたフ●ミチキは貪り食らいましたとも。
廃棄寸前のそれは油が回っていて予定のないクリスマスをより一層惨めに演出してくれた。
だってせっかくクリスマスだっていうのに私の周りのみんなは冬休み開始早々やれバイトだやれ帰省だやれ旅行だと出掛けてしまって誰もいないのだ。
本田部長がいるにはいるけどお邪魔したら絶対冬コミの準備を手伝わされるのが目に見えているから遠慮しておきたいところ。
…というかファ●チキじゃなくてL●キだった。

話を戻そう。
ケーキのクリームは何ケーキものが1番美味なのか。
クリスマスの定番はやはり純白の生クリームにイチゴの赤が眩しいホールケーキ、あとは…なんだっけ…ムッシュ●まやつ氏みたいな名前の切り株チョコレートケーキだろう。
でも生クリームのホールケーキはクリスマスの時期以外でも食べられるし、チョコレートケーキは一人で食べるにはちょっとヘビーだし…何だかこう…コレジャナイ感じなんだよね。
だからと言ってタルトやパイやティラミスはあんまりクリーム感ないしチーズケーキはそもそもデコられてないし。
いや、タルトもパイもティラミスもチーズケーキも好きなんですよ?
ただ今回は対象外というだけで。
だってあくまで『ケーキのクリーム』が論点なのだから。
何ケーキが1番生クリームの良さを引き出せているか、問題はそこなのだ。

「というかもうクリスマス終わったのに私はいつまでこの問題と向き合わなきゃいけないのかな?」

と、正気に戻ってみたりしてもなんだかんだで一度気になった事はトコトン突き詰めていきたい性分。
どんなにくだらない問題でも、自分が納得し得るだけの結論が欲しいのだ。

特別なスープをあーなたーにあーげるぅ…

ふと静まり返った部屋に不意に着信音が鳴り響いた。
ディスプレイには毎度お馴染み『着信中 香くん』の文字が浮かぶ。
もうすぐ今年も終わるしそろそろ着信音変えようかな。
この曲のサビのフレーズは流行語大賞狙えると思ってたんだけどなぁ…流行った時期が早すぎたのかな。
毎年思うんだけど流行語大賞って下半期に流行した言葉の方が記憶に新しいから圧倒的に有利だよね。
この曲流行ったの年明け早々だったから仕方が無いのかもしれない。

というのは置いておいて。

「もしもし?香くん?」
「あ、なまえ?生きてた?」
「冬休み開始早々生存確認される程ヤワじゃないよ。何?どうかしたの?」

ほんの2日前まで共に勉学に励んでいたハズの級友の生存確認をいつものノリで軽く流す。
いつもの連休だったらなんだかんだで一緒に遊んだり課題やったりで毎日の様に顔を会わせる彼だけど、この冬休みは真面目にバイトをこなす事にしたらしく終業式以来会っていない。
(一応今までも放課後に近所のコンビニでバイトしていたみたいだけど。)
いや、まぁまだ2日しか空いてないんですけどね。

「ん、大した用事じゃないんだけど今からお前ん家行くから熱いお茶淹れといて的な。コーヒーでも可。」

…いつもながら唐突だ。

「え?何?課題ならまだ私も終わってないから貸せないよ?さすがに2日じゃ無理だって。」
「そうじゃなくて…バイト先のオーナーにブッシュドノエル貰ったからなまえと一緒に食おうと思った感じ。」
「え、ムッシュかま●つ?」
「そうそう。何かオーナーが付き合いで予約したケーキが多くて食べきらないからってくれた感じ。イブも当日もシフト入ったからお礼とお詫びも兼ねてみたいなみたいな。」

まぁ課題は冬休み終わる前に写させて貰うけど、とさらりと彼は付け足した。

「どうせクリスマスぼっちだったんだろ?俺もバイトでクリぼっちっちだったから今からぼっちっち同士でクリスマスパーティしようぜ!的な!」

クリスマスぼっちとか余計なお世話だ、とか思ったけどなるほどそうか、ああ見えてイベント事好きな彼が大人しかったのは真面目にバイトをこなしていたからだったのか。
クリスマス返上で頑張ったご褒美を私と食べたいと思ってくれた事が何だか照れくさいんだけどすごく嬉しい。
まるでリア充みたいじゃないか。

じゃああと5分もせずに着く的な感じだからよろ!と一方的に言うだけ言って香くんは電話を切った。

「もう…人使い荒いんだから!」

なんて言いつつもニヤつく口元を押さえながら、私は部屋を出てキッチンに向かった。

今から香くんと2人でクリスマス(後)パーリィ、か。
考えただけでワクワクする。

なんだかもうケーキのクリーム云々の話はどうでもよくなった。
だって何食べても美味しいものは美味しいんだもの。
その時の環境によって変わってくるよねそんなの。
実際今だってさっきは却下したハズのブッシュなんちゃらが楽しみで楽しみで仕方が無い。

今日のところは『誰と食べるか』が1番重要、ってことにしておきたいと思う。



番外編.アフタークリスマス fin



■何も考えず自由な発想で書き殴ったらこうなりました、メリークリスマス!



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