12月25日。クリスマス当日。
昨日は最近のイベント事にはもうお決まりとなった、跡部景吾主催のクリスマスパーティーだった。疲れた。適当に写真を撮るだけだといったらそうなんだけど、なんというか雰囲気に疲れた。
規模も去ることながら、何もかもが非日常的。夢の国、というのにはメルヘン過ぎるけど、帰った後の現実に戻ってきた感が半端ないのは確か。
だから今日は普通の日。ケーキを頼まれて街に出てきたけど、カップルばかり溢れているけど、今日は普通の日。そんな風に言い聞かせて、ふと携帯を見ると着信ありのランプが光っていた。


「、棗さん」

「うっわ、吃驚した」


突然後ろから腕を捕まれたと思ったら、今からかけ直そうと思っていた相手がそこにいた。電話かけてきたのは確かだけど、ここで会ったのは偶然らしい。なんだか日吉くんとは偶然に出会う確率が高いなぁ、と思いながらなんとなく並んで歩く。


「昨日はお疲れ様でした」

「日吉くんもお疲れ様。テニス部はいつも大変だね」

「まぁ、慣れましたけど」


マジかよ。全然慣れないよ。むしろ毎回逃げ出したくなる気持ちの私とは違って、テニス部はまたか、みたいなのか。それはそれで怖い。


「そういえば、電話したよね。さっきかけ直そうと思ったら、日吉くん来て」

「ああ、そうでした。渡すものがあって」


そうして渡されたのは小さい包み。だけどちゃんとクリスマス用にラッピングされたそれは、まるでプレゼント。え、本当に、私何も用意してない。っていうか、そうか、周りから見たら私たちもそういう関係になるのか。いや、そうなんだけど、と一人混乱。


「…日吉くん、これは、」

「何も言わないで下さい」

「え、いや、私」

「黙って受け取って下さい」

「や、だから、」

「勘違いしないで下さい。この間誕生日祝って貰ったお礼です」


頼むから喋らせて。間髪入れずにくるから会話が一方的。っていうか、誕生日祝った、って言ってもお礼されるものでもなかったし。とりあえず、開けていい?の質問に返してくれなかったのを肯定と受け取り、包装を丁寧に剥がしていく。


「わ、可愛い」

「……棗さん、アクセサリーなんか着けなそうですけど」

「持ってないだけだよ。ありがとう、着けるよ」

「…そうですか」


そう言ってそっぽを向くのは、彼の癖らしい。最近見つけた小さな発見だ。
12月25日、クリスマス。街のイルミネーション、クリスマスツリー。光るは手の中のネックレスと白い雪。




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