「日吉の欲しいもの?あれだよ!シングルス1の座!」
「いや、それは私にはどうにも出来ないよね」
「じゃあーあれじゃね、ぬれせん!」
うーん、確かにそれは大好物らしいけど、そんなに好きなら多分家に常備とかしてんじゃないかな。というか、あれ、私なんで向日くんと話してるんだ?
「日吉なぁー、怖い話とか好きだぜ」
あぁ、なんかそれもなんとなく知ってる。一緒に行った映画もそんな内容だったし。
でもなぁ……
「なんだよ◯◯ー、せっかく相談乗ってやってんのに」
「いや、そもそも相談乗って欲しいなんて言ってないんだけど」
明日は日吉くんの誕生日で。でもそんな、プレゼントなんて、渡したことも考えたこともないし。しかも、男の子に。そう頭を悩ましていたとこに、来たのが向日くんだった。
なんかヒントになることがあるかもしれないと、軽く聞いたけど、どうやら彼に聞いたのは間違いだったかもしれない。
「ちなみにオレが今欲しいのは、背中に羽だな!」
「いや、きみのは聞いてないよ」
「あーでも、新しいスケボーもいいな!」
「だからね、向日くん、」
…逆に向日くんみたいに単純でなんでも喋ってくれる方が楽でいいかもしれないな、なんて。
「あ、ねえ、◯◯さん!明日、日吉くん誕生日プレゼントって受け取ってくれると思う?」
「、へっ?ああ、うん。貰ってくれるんじゃ、ない、かな…」
「だよね!良かったー、ありがとう!」
きゃあきゃあ言いながら喜ぶ女の子たちに、若干付いていけない自分。え、てか、なんでそれを私に今聞いてきたの。あげたいなら、勝手にあげればいいと思うし、それを受け取るか受け取らないかは日吉くんの自由じゃん。
……はぁ、と小さく漏れる溜め息。
「……なんか、がんばれよ」
…ありがとう、頑張るよ。
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