何年後かには10月4日という日は国民の日にでもなるのではないだろうか。なんとなしに登校した私は氷帝学園を甘く見ていたかもしれない。校門を抜けたその先、嫌でも目に入ったきたものは屋上から下りる大きな垂れ幕。そこに描かれる「跡部様の誕生日を心からお祝い申し上げます」の文字。そう、今日は我が学園の生徒会長である跡部景吾の誕生日なのだ。そうだった、この日は毎年そうだった。恒例となったようなイベントだが、どうも私は三年通った今でも覚える気はないらしい。


「跡部様のプレゼント買った?」

「もちろん!あー会えるかなぁ」

「渡しに行っちゃおうよ」

「ええ〜?」


えー。全くどこのアイドルなんだろう。この先にはハロウィンやらクリスマス、バレンタインとイベントを控えるこの時期にそれらを抑えて堂々の盛り上がり。それほど影響がある男なのだ、跡部景吾は。周りのピンクオーラに当てながら、やっぱりここの女子は少し怖いと再確認。いつの間にか周りは跡部景吾の登校待ちで人だかりになっていて、なんとか抜け出すと前方に見知った顔が目に入る。


「おはようございます。全く、探しましたよ」

「おはよう、日吉くん。今来たところだよ」


そんな呆れた顔をされても。今年もすごいね、と顔を向けると、全くですね、そう答える日吉くんは大して興味はなさそうだ。それより、と口を開く。


「今日、跡部部長の誕生パーティーがあるんですが、」

「へえ。君も大変だね、頑張って」

「は?貴女も行くんでしょう」


は?今度は私がぽかんと口を開く。私が、いつ、誰のパーティーに行くって。まさか、過去を振り返ってみてもそんな話をしたことも返事したことも記憶にはない。
委員長が先輩に写真撮りに行かせるって言ってましたけど。この言葉でなんとなく分かった。直接私に言ったら絶対断るからって日吉くんをだしに使ったな。いや、しかし私は行かないぞ、いくらテニス部担当だからって。


「一応テニス部だけの、ですが。棗さんが来るなら俺も気が楽です」


ぐ。この子も苦労してるんだよなぁ。そう思うとなんだか断れなくなってしまって。まぁ、担当は二人な訳で、それを日吉くん一人に押し付けるのもなんだか忍びない。しぶしぶ承諾した感じになったが、本当委員長の思い通りになった気がしたから後で文句一つくらい言ったってバチは当たらないだろう。


「ありがとうございます。それじゃあ、部活後、迎えに行きます」


一気に重くなる身体。ああ、これから長い一日が始まるのか。そう思うと最早授業どころじゃなくなった私の気持ちとは裏腹に、あの大きな垂れ幕は太陽の光を浴び、キラキラと輝いているのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーー
続かない、と思う/(^0^)\
なにはともあれ
跡部様happybirthday!



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -