GWの真っ只中、青い空に心地よい風。
どこかに出掛けるにはもってこいの陽気だ。まぁ、こんな日にどこか行こうだなんて、混んでるだけだけど。ただ、いつも通っている学校にいるなんてやはり味気無さを感じる。なんだってまた連休に練習試合なんて組むんだ。
少し離れたテニスコートからは変わらず氷帝コールが響き渡る。
来たのは中庭。入学した時からのお気に入りの場所だ。大きな木の下は丁度良いベンチや、芝生もあって木漏れ日がいい感じ。あの雰囲気から逃れて、息つくにはもってこいの場所だ。そう、ちょっと疲れた。


今は誰の試合をしているかは忘れたけど、他にも報道委員はいたから、写真はいいだろう。そう思ったものの、着いて気付いた。先客がいる。
大きないびきに、目立つ金髪。私は彼を知っている。
芥川慈郎だ。
いいのか、仮にも今試合真っ最中の、しかもレギュラーがこんなとこで寝ていて。いや、むしろ寝ている以外の姿を見たことがない。


「う〜ん、…」


やべえ、起きる。と思った瞬間、早くこの場を去れば良かったと後悔することになる。


「ん〜…?あっ!お前、ひよCの!」

「……誰の」

「あれ〜?なんだっけ?」

「なんでしょうね」


おいおい、こんなにもテンションの高い人だったのか。さっきまで寝てた人がなんてマシンガンなんだ。とりあえず、会話をしようか。


「あ、そうそう!俺、今日誕生日なんだよね〜」

「そうですか。おめでとうございます」


その差し出す手はなんだ。なにかくれというのか、初めて話したこの私に。しかもそんなキラキラした目で。なんだ、なんだか、あざとい。A〜ないの〜?と言われても私もほぼ手ぶらだし。


「おい、ジロー!次試合だぞー!」


コートから呼ぶ声が聞こえた。寝ぼけ声で返事をした彼も、さすがに試合と聞いてコートの方へ向かう。何事もなかったかのように歩き出すその姿は、マイペースすぎて一種の妖精かなんかに会ったみたいだ。そんなことを思ってたら、勢いよく振り返った芥川くんと目がバッチリ合う。


「◯◯ー!俺のかっちょE写真、ちゃんと撮ってね〜」


一瞬何を言われたか分からなくて。なんだ、名前知ってるじゃん、とか何故写真撮ることを知っている、だとか思うことは色々あったけど。
とりあえず行くか、と、自然にコートに向かっていた。




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