文化祭前日。さすがに忙しい。どこのクラスも明日に向けて、どことなく浮かれてる雰囲気が漂っている。裏方もといホールへと転職を余儀なくされた私は、つい先ほど最後の衣装合わせを行って、やっと解放されたとこ。
「あ、なっちゃんはっけーん!」
「……何してんの」
「見て見て!オレとゆっきーの力作!エコトレインー!」
「へえ。………じゃあ」
「いやいやいや、なっちゃん待って!ストップ!」
もう嫌な予感しかしない。邪魔される気しかしない。そう思って後にしようとしたのに、捕まった。祐希まで段ボールの中に引っ張り込もうとする始末。乗らないよ。
「棗、」
「乗らないよ」
「じゃなくて」
ヘアゴム持ってません?と答える祐希の頭は確かに作業するには邪魔そうだった。だったらもっと早く言えばいいのに…と腕に着けてたゴムを渡す。が、慣れないのかもたつく祐希の手から取り返して、結ってあげる。
「なんだそれ!ゆっきーカッケー!なっちゃん、オレにもやって!」
「千鶴はもう十分面白いからいらないよ」
ぎゃーぎゃー騒ぐ千鶴の声を聞きつけた悠太と春と一緒に、結局私はエコなんたらに乗せられて東先生の所に向かうのだった。祭りの前は、いつでも騒がしい。
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