文化祭準備で放課後も忙しくなってきた。さすがに私だけバイトで抜けるわけにも行かないからちゃんと参加してます。


「○○さん、これ被ってもらう帽子なんだけど当日まで持っててもらってていいかな?」


そう言って渡された帽子、というかシルクハット。そもそも何の衣装か聞かされてないけどいいのか。…いっか。

と階段を降りてたら見慣れた背中発見。


「そんな背中じゃ哀愁も漂わないよ、要くん」


その項垂れた頭に持ってたシルクハットをかぶせる。てっきり文句の一つも言われるかと思ったのに、返ってきたのはああ、棗か、の一言。相当お疲れのようだった。確かポケットに…と探ってそれを要に差し出す。


「あげる」

「何だこれ」

「疲れたときにはなんとやらだよ」

「甘いものだろ。別に疲れてねーし」


貰えるものは貰っときなよ、と言うとしぶしぶといった感じで板チョコを受け取った。


「忙しいね、生徒会兼クラス委員は。さっきも誰かが要のこと探してたよ」


そう言うと長くため息をつく要。文化祭の準備が始まってから、走り回ってる要をよく見る。頼られてんだなぁと見ながらも、思うことが一つ。


「みんな要に助け求めるよね。…なんで?」

「知るか。こっちは大変だっつーの」

「いや、だってさ。要に任せた方がちょっと怪しい、って時もあるじゃん」


まぁいざって時は頼りになるけど、と加えたけど、返答がない。怒らせたかと思って隣を見たけど、特に怒ってる様子もなく眼鏡を拭きだす。


「やべっ」


ポケットから落ちた紙を見て青くなりだす要。ほら、やっぱり任せると怪しいって。勢いよく立ち上がるから驚いて少し身を引く。


「お前もちゃんと準備手伝えよ!」


とシルクハットを今度は私にかぶせて、走って行った。言っとくけど私、結構準備には協力的だからね。しばらく座ってたけど、図書室に資料を借りに行く途中だったと思い出して、腰を上げた。




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