「お前が勉強教えろなんて珍しいな」


図書室の向かいの席に着きながらの第一声。そう、ちょっと教えて欲しいところがあるからわざわざ放課後に時間を貰ったのだ。


「この間立て続けに休んだ1限、両方数学で」


たまに、二度寝が過ぎて1限を来れないこともしばしばあるのだけど、よりによって数字とは。起きると要や悠太から着信がたくさん。ここまでしてくれるのになんだか申し訳ない気持ちはあるのだけど、


「課題たくさんあるんだけど……知っての通り私数学は苦手なんだよね」

「じゃあ来いよ……」


おっしゃる通り。行きたいのも山々、ただ二度寝だけはどうにもなってない。とりあえずやれよ、とペン先でとんとんやられる。分からないことがあったら聞け、ということらしい。
黙々と私は解いている間、要は本を読んでいる。さらさらの前髪から伏し目の顔が覗く。面倒くさいとか言いながらもこうして付き合ってくれるのは要の良いところだ。たまに物五月蝿いのがキズ。そんなことを思ってたら顔を上げた要と目が合う。


「なんだよ、分かんねーとこあんの」

「あ、いやないんだけど、」

「棗はどっかのサルじゃねえし、そこそこ出来るんだからオレに教えて貰わなくても出来んだろ」

「そんなことないよ」

「…………ココ、式ちげえ」

「ね、」


出来ないでしょう?結局は私は何も一人じゃ出来ないんだよ。幼馴染みがいないと何も。甘えてるつもりはないんだけど、気付くと手を伸ばしてしまうのは私の方が甘えてるのだろう。そんな私に出来ないことを自慢するな、と小突かれる。
要のお陰で課題も進み、二日間くらいかけてやればいいかなぁと思っていたものがもう終わりそうだ。


「うん、終わりにする。要、ありがとう」

「オレほとんど何もしてねーけどな、」

「そんなことないよ、本当助かった」


ジュースでも奢るよ、なんて私が言うもんだから怪訝そうな顔をする、失礼な。寄った自販機でジュースを2本買って二人で帰る遅い下校。優しいなあ、要は。ポロっと呟いたこの言葉も聞こえた本人は聞こえないふりをしていたけれど、赤くなったその顔は隠せていなくて、小さく笑った。

夕焼けと同じ色した、





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -