「うわーすっげぇ!一面布団!」
「要の家じゃないんだから、こうでもしないと寝れないよ」
何故か、急に。は、もういつものことになったからいいけど。私のところに泊まりたいと言ってきた理由は分からない。ただ単に連休で、要の家じゃない家に泊まりたいとか、たぶんそんな理由。たまに悠太や祐希は来ることがあるけれど、一気に五人も来るのは初めて。頑張って布団を敷き詰めたけど、一人一枚の広さもない。準備の段階で分かったけどいざなってみると本当に寝れるかな、と思う。
「うっわーい!」
「千鶴、千鶴。要の家じゃないから下の人に響くから」
ごめんごめん、と言いながら端から端まで転がる。なんだか、楽しそうでまあいいけど。そんなことをするから気を遣って、隅で座る春に申し訳ない。
「分かった…千鶴、ベッド使っていいから暴れないで、」
「え、いいの?!」
「ダメに決まってるじゃん。棗も何言ってるの」
だってほこり立つじゃん、とまで言うとようやく大人しくなった。大の高校生男子が五人も揃って横になられるとこの部屋の狭さがありありと分かる。しょうがないのでみんなには雑魚寝をしてもらうしかないんだけど。
「さあ!何する何する?」
「え、…………もう寝るよ」
「何言ってるのなっちゃん!まだ夜は長いよ!」
布団を引っ張られると同時にベッドから落ちた。痛い。もう眠くてしょうがない私は騒ぐ千鶴の声が遠くに聞こえる。
「千鶴、五月蝿くすると近所迷惑だから。…棗もほら、ベッド戻って」
「棗ー、お腹空いたんだけど」
「………そこの下にお菓子が、あると思う」
「おまっ、まだ食うのかよ」
「祐希くんそんな勝手に開けちゃダメですよ!」
夜は、まだ長い。いつもと違う賑やかさに、なんだかあったかい感じがする。いつまでも消えない電気の明るさに、まだまだ寝る様子もない。気付いた時にはベッドも、布団も関係なく寝ている様子はきっと、楽しかった証拠。
起きたときもきっと幸せ
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