遠く聞こえたインターホンの音で目が覚めた。朝、メールを送ってからそういえばずっと寝てたみたいだ。起こした身体はまだだるくて、頭が重い。熱のせいなのか、寝すぎたせいなのか、くらくらする頭を押さえて玄関まで行く。
「棗……大丈夫?」
「…あんまり」
「とりあえず色々買ってきたから」
祐希が持ち上げてくれた袋にはスポーツドリンクやらゼリーやらが入っているのが見えた。そういえば、結局ずっと寝てて何も食べていなかったことに気付く。食欲はないけれど、喉の乾きが一気に感じる。
「何か食べた?」
「…食べてない」
「それじゃ薬飲めないじゃん」
「うん、飲めてない」
そう言うと二人して眉間に皺を寄せる苦い顔をした。あ、同じ顔してるなぁ、やっぱ似てるなぁなんて呑気なことを考えられるのは熱で頭が回ってないから、だと思う。食欲ない、と答えても何か食べなきゃと渡されたゼリーを口に流し込む。乾いた喉を通るゼリーが心地よかった。これなら食べれそう。
熱を測ってみたらまだ38度が表示されていた。朝目覚めた時は寒気と頭痛に襲われて、連絡だけしてすぐ寝ちゃったから測ってなかった。下がったかどうかも分からない。
「はい、とりあえず薬飲んどけば」
「…うん、ありがとう」
祐希に渡された薬を飲む。まだ効いているわけないんだけれど、薬を飲んだら安心してきて自然とまたベッドに倒れ込む。
ふっ、と顔に触れるひんやり感が悠太の手なのはすぐに分かった。その手が気持ちいいのはやっぱりまだ熱があるんだろう。瞼が自然と落ちてくるのもしょうがないことなのだけど、なんだか寝たらいけないような、怖いような、分からないけどそんな気持ち。熱とは裏腹に頭は冷静なのに、弱った考えをしてしまうのは熱、のせいなのかな。
「寝てな。…オレたち棗が起きるまで、ずっといるから」
私に触れる二つの手。それだけで凄く安心で、小さく頷いてまた目を閉じた。
いつまでも傍に
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