関東大会であのチビ助に負けてから、何をしたらいいのか、何をすべきなのか、分からなくなった。跡部さん達の最後の年の試合がどれほどのものなのか。それを自分が終わらせてしまったということ。周りは俺のせいじゃないと言う奴もいるが、俺のせいだと言うことだけは分かってる。気休めなど、いらない。ただ、あれからどう顔を合わせて部活に出ればいいか、分からない。
しかし、この人だけは違った。あの試合の日、本来ならば写真を撮らなければならないはずだったが、盛大に寝坊したらしい。ようやく来た頃には俺の試合すら終わっていて、もうどうでも良くなった。


「間に合わなかった。ごめん」


慰めの言葉などかけず、あっさり、さっぱりと言った。俺はどんな顔をしていただろう。泣いた後があったか、それでも顔色一つ変えずにいるその人が、俺はやっぱり好きだった。一人でいたかった、はずなのに。出てきた言葉は「傍にいて欲しい」だった。それにも一言返事でいいよ、と答えた貴方は、何も言わずに隣にいた。



割りと思ったことが顔に出る人だと知ったのは、いつのことだっただろう。それでも無表情な時には妙に大人っぽくて、何を考えているか分からない、知ってみたいと思うようになった。それでも、相変わらずこの人と一緒に帰ることだけは変わらない、のは何故だろう。大会の前のように、隣で歩く貴方は会った時から今も、何も変わらない。何を考えているかも、分からない。いつから、この空間に甘えるようになったのだろう。

俺たちテニス部の大会は終わった。
これからを変える為にも、俺は、この気持ちにも区切りをつけ、終わらせなければと思った。









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