今日は千鶴の誕生日。
なんで覚えてるかというと、もう一週間も前から猛アピールをされてたから。
「なっちゃん!来週オレの誕生日だから!」
「へー」
「オレの誕生日まであと3日!!」
「はいはい」
「誕生日明日だからねー!!!」
「分かったから、」
要がうるせえ、と怒ったのも無理のない話だった。そんなにアピールされて、さてこちらとしては何を期待されているのか、分からないままで。昔から付き合いがある幼馴染み達と違い、うーん、千鶴の好みか…。
「え、棗、千鶴の誕生日プレゼント考えてるの。えらいね」
「や、祐希は考えてないの。あんなにアピールしてたのに」
「千鶴にはオレの気持ちは伝わってるからさ」
「伝わってるだろうね、面倒くさいって」
悠太はとりあえずお菓子かな、って言ってた。確か春もそんなこと言ってたかなぁ。要は分からないけど、お菓子ばかりでもなぁ。千鶴ならなんでも喜んではくれそうだけど。
そんなこんなで、
「なっちゃんー!今日はーオレの、」
「誕生日、」
「さっすがー!ゆっきーなんてさー、オレたちの遊んだ時間、プライスレス。とか言っちゃってさー、」
ああ、目に浮かぶなあ、その光景。まだブーブー文句垂れてるその顔。誕生日なのに、勿体無いじゃない。そう思い、ポケットに用意していたプレゼントを取り出して、無理やり押し付ける。
「……ハイ」
「えっ。え、え、なになにコレ!」
さあ、なんでしょう。
私が珍しく悩んで選んだプレゼント。キラキラひかるその瞳。バイト代をはたいて買った、そのイヤーカフが映ったその時に。君はなんと声をかけてくれようか。
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