My loving mates | ナノ





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「…はあ!?なんでそうなるん!?」




クソババア。
その時のあたしにとって、その一言に尽きる程度の存在。
あたしの目の前に怖いようなムカつくようなウザいような表情で立ちはだかり腕を組んだ、顔のシワがよく目立つオバハン。

それは、




「なんでやあらへん、こないだ言うたやろ!次テストの点ようなかったらテニス部のマネージャー辞めさすて!!」

「いつ言うたん!あたしそんなん認めへんっちゅーねん!!」




…この世でたった1人の、あたしの母親。




「麻衣が決めることやあれへん、これは私が決めたんや!!」

「は!?何勝手に決めとんねん、そんなん知るか!絶対嫌やし!あたし死んでもマネージャー辞めへんから!!」

「何勝手に決めとんねんて…アンタ親に向かってなんちゅう口きいとるんや!いつからそんな偉なってん、誰が苦労してここまで育てたった思とるねんな!!」

「…っ!?今言い方とかそんなん関係ないやろ、こっちは怒ってんねんから!ホンマウザい!!」




この世に生まれてきてまだ十数年。
生んでもらってまだ十数年の、ケツの青いガキ…
そんなことは自分で分かってる。

でも。




「ああそうですか。ほんならアンタ、もう一人暮らしでもしたらええわ。私もアンタみたいな"ホンマウザい"子供うんざりやし。出て行きホラ。早よ」

「なっ!」

「掃除も洗濯もご飯作んのも全部自分でやってお金の管理もして、誰にも迷惑掛けんと生活してみいや。2度と私に怒鳴られたり文句言われたりせんでいいで、な。ホラ出て行き。なあ」

「……」




たとえどんなに顔のシワも脳のシワも少ない、
考えなしのガキだったとしても。

偏屈で純粋な、ちゃんとした"プライド"なんかがあったりするわけで。




「…分かった」




それに則ってどこまでも突き進んでいきたい年頃真っ只中のあたしは自分の部屋に駆け込むと、
ベッド脇に置いてあった大きなボストンバッグを引っ掴んだ。


最近親子ゲンカをするたびに必要な荷物を詰めては準備していた、
いつでも簡単に家出が可能なカバン。

中身は3、4日分の着替えと洗面用具にケータイの充電器にスピーカー、
好きなマンガとスナック菓子がいくつかとあたし的3種の神器(ケータイ・財布・音楽プレーヤー)。


本当はかっこよく身一つで飛び出したいところだが、
そうはいかない。
だって今回のあたしは本気だから。




「…お望み通り、こんなとこ出てったるわ!!」




ガチで計画的に持ち物とか準備するぐらい本気の、
リアル家出やから。





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