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「獄寺君……?」
「十代目!!」
 ドアの音に獄寺は大袈裟に肩をびくつかせた。さすがに自分のいかがわしさには気がついていたらしい。「いやぁ素晴らしい門柱に見とれてました!」とか言っているがそれはそれで忠犬の他に門柱オタクという新たなスキルを得るだけだ。
「ビアンキなら大丈夫だよ。」
「!」
「うまく言ってビアンキに顔の一部をかくしてもらったから。それならぶっ倒れないでしょ?」
「えっまじスか!?」
 ツナの言葉に本気で救われたらしく獄寺の表情が一気に明るくなる。この人も大変だ。
 タイミング良く後ろでガチャリとドアの開く音。
 ツナと極寺は同時に振り向いた。
 そこにはビアンキが立っていた。
 ぼわぼわのリスの着ぐるみで全身を固めたビアンキが立っていた。
「(ちがう意味でいっしょにいたくねー!!)」
 強調しすぎて飛び出てしまっているくりくりのお目目とくるんと巻いた大きな尻尾。
 ビアンキは特に狼狽えた風もなく「隼人も子供ね」なんて言っている。子供相手だから着ぐるみチョイスか? ……謎は深まるばかりだ。
 次いでリボーンと山本がでてきた。二人ともビアンキの格好にはノータッチだ。
 これ、本当に勝てるのか。
 ツナはやはりこのメンバーでいけるのか甚だ疑問だった。
 ……だけどこのメンバー以外で出発なんて、考えられない。
「よし、そろったな。」
 リボーンがキラリと瞳の奥を光らせて言う。
 五人は誰からともなく黒曜の方を睨みつけた。
 青い空、白い雲、見渡すは平凡な住宅街。
 足を踏み出せばアスファルトがじゃりりと唸る。
 かくして一行は、九月九日正午、ついにこの慣れ親しんだ並盛を出発したのである。
 

 
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