137/137
5メートル先も見通せない暗い森をかきわけて進む。
まっすぐ進めないのはお互い様だ。経過時間からしてまだそんなに離れてはいないはずなのに、小さな背中はどこにも見当たらない。
追いつくことは早々に諦めていた。
幸運にもさっき出くわしたのは人の好さそうな少年だったからよかったものの、あれが敵だったらと考えればぞっとする。
死ぬ気弾も無ければリボーンも、山本も獄寺もビアンキもいない。こんな状況で一人、敵陣の中を彷徨うなんて自殺行為だ。
もはや直感だけを頼りに走りながら、先程の少年の言葉を思い返す。
「フゥ太だけでなくヒバリさんも捕まってたなんて……!」
帰ってこないという時点で想定しなければいけなかった、けれど、到底信じられることではなかったのだ。まさかあの雲雀が。
そのまさかが起こりうるのだと、痛いほど思い知っていたはずなのに。まさか了平が、まさか獄寺が、まさかフゥ太が、まさか――ネロが。
あの赤い目と、そこに浮かぶ六の紋が何故か脳裏をよぎって、ぶんぶん頭を振って振り払う。
フツーじゃない。これまで出会った誰よりも。
六道骸に捕まると、皆あんなふうにおかしくなるのだろうか。
「と……とにかく、早くみんなと合流しないと。こんな所で敵に出会ったりしたらシャレになんないよ〜!」
第十話 最後の死ぬ気弾
BACK