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「それではボンゴレ的町内交流七夕大会を始めます。司会は三丁目の三浦ハルがつとめます。みなさん七夕にふさわしく素晴らしいと思ったらお手持のプラカードをあげてください。百点満点であがった合計が点数となりボードにはられます。」
 現在ネロやツナ達がいるのは並盛町公民館。
 部屋の後ろの壁に獄寺、ツナ、ネロ、リボーンの順で凭れている。
 常にツナから見て右側にいるのが獄寺らしい。
 こっそりとそんな考察をしてから、どうやって集めたのかという数のお年寄り達を眺めてネロは口を開いた。
「……ふーん、初めて見たけど、こんなんなんだな。」
 言ってから興味深そうにキョロキョロと辺りを見回すネロにツナや獄寺は少し驚いた声を上げる。
「え、愁、ボンゴレと関わりあるっぽいのに参加したの初めてなの?」
「てめーぐらいボンゴレに気に入られてりゃ招待状も行ってるはずだぜ。」
「まーな。一応毎年誘われてはいるんだけど、行く気になれなくてさ。」
「今日もオレが迎えに行ってやっと来たんだぞ。」
「そうなんスか?」
「何か来たくない理由でもあるの?」
「……ん、まあ、そんなとこだ。」
「……?」
 ツナは首をかしげる。
 ネロの様子に微かな違和感を抱いた。
「それでは一番バッターは並盛野球部期待の星、山本武さん。願いは“野球部県大会ベスト4”です。」
「!」
「あ、始まった。」
 ツナが何か言葉を発する前に、ハルの声が彼の意識を中断させた。
 ネロは別段おかしなところも無く舞台の方を眺めている。興味深そうな眼は普段通りだ。
 ツナもそれで安心してしまったようで、さっきまで何を考えていたのかすら忘れて拍手する。
 舞台に上がった山本がネロに手を振って声をかけてきた。相変わらずこれがマフィア関係のことなどと思ってもみないらしい無邪気な笑みだ。
「愁ー! ちゃんと観とけよー!」
「分かってるって。頑張れよ武ー!」
 ガッツポーズをする山本に声援をかけているネロ。山本は一層元気よく気合いを入れている。
 ツナも控えめながらも応援する。と、ツナは彼からすれば非常に重要な点に気づいた。
 当然それはネロの様子が少しおかしかった事に関してなどでは無く……
「んなっ、願いみんなに公表されるのー!?」
 そう、この一点に尽きる。
 ツナの声にネロは不思議そうな顔をしている。
「ん、何だ? 公表できないような願いなのか?」
「い、いや、その……(“京子ちゃんと結婚できますように”だなんて絶対言えねー!)」
 こんな事を暴露されてしまえば確実に街を二度と大手を振って歩けなくなる、と真剣に悩むツナの様子に、ネロはさらに不思議そうな顔をした。
 その後も山本が公民館の壁を破壊したり、
 ランボ・了平のコンビがパンダやコアラの主食を食べたり、
 イーピンが爆発したり、
 ツナが侍っぽくなったり、
 とそれはもう色々あったのだが話すと長くなるのでここでは省かせていただく。
「…………」
 ざわざわ、ざわざわ。
 あいた窓から風がするりと入り込む。
 室内の空気をかきまわすそれによってまた笹が揺れた。
 数枚の弱い葉はちぎれてどこかに飛ばされてしまった。

 
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