おかしい。違和感が、消えない。
今俺が居るのは電車内。しかも今の時間帯はサラリーマンや学生などの通勤時間だ。
俺も学校へ行く為には必ず乗らなければならないのだが…。
さっきから、少し違和感を感じていた。
…なんだか尻を、撫でられている気がするのだ。いや、分かってる。俺は男。正真正銘の男だ。
男が痴漢されている、なんてある訳がない。
たまたま手が当たってるだけ。そう思いたいのに。

「ン…、んんッ」

その手は俺の尻を揉む。軽く揉んだり、強くしたり。それがなんとも言えない快感で。
吊り革を持つ手が震える。本当ならすぐにでも俺の中にある力で振り払ってそいつを殴る事も出来るのだが。
今は通勤時間帯。俺のせいで電車を止める訳にはいかないし、他の人達に迷惑はかけたくない。
俺が我慢すれば済む事なんだ。

「ひ、ン…ぅ、」

最初は一人だけだった。なのに今度は両脇から別の男の腕が現れ、ブレザーのボタンを外し、シャツをはだけさせていく。
一人じゃない。複数の人間が俺を取り囲んでいる。
ゾクリ、と身体が震えた。
声を出しちゃいけないのに。こんなんで感じちゃいけないのに。
なのに、思考とは関係なく身体は勝手に小さな快楽を拾いはじめる。

「キミ、腰細いね。女の子のようじゃないか」

低い、中年の声。

「うわ、前ガチガチじゃん!痴漢されて感じてんのか?」

今度は先程の中年男より若い声。

「じゃあ乳首はどうなんだ?下も感じてるなら上も感じてるのかな?」

また別の声。俺は声を上げない事に必死で周りの事を考えている暇がない。

「っひ、ぁ…あん、…ち、くび、さわんなよぉ…ッ」

「何言ってんだ?こんなに硬くさせてよォ…」

「や、ぁあ…!っひ、ふ、ぅう…!」

止めろ、止めてくれ。
でも、気持ち良くて。やめて欲しくなくて。ぐちゃぐちゃになる。
頭も、身体も。どうしたらいいのか、分からない。

「あっ、あ…ひ、ゃん…!」

後孔に指を入れられ、掻き回される。最初は一本だけだったのに、その内二本、三本と指は増えていくばかり。
グチグチと中を解されると、今度は指とは比べられない程の熱く熱を持つモノが宛がわれた。

「っ、さ…入れるぞ?」

「ぁ、あん、まっ、…!」

男のモノが内臓を押し上げ俺の中へ入ってくる。苦しい。息が、息が出来ない。
ひゅ、ひゅう、と喉が鳴る。吊り革を持つ腕に力が入らない。助けて。助けて。

「ふっ、ぐ…うぁあああ…ッ」

「っ…は、凄い吸い付きだな…」

「あ、後で俺たちにも変わってくださいよ?平和島静雄を犯せるなんて滅多に出来ないんですから」

「分かっているさ…ッ」

俺の、俺の名前が聞こえた。こいつら、俺が誰だか知っているのか…?
もしかして、昔俺がぶん殴った奴らか?昔の事なんか覚えてねぇから分かんねぇや…。
この電車が駅で止まれば、こんな男ども振り切って逃げられるのに。
次の駅、次の駅までの辛抱だッ…。

「ふっ、あっ…ァん!お、おくぅ…きちゃ、きちゃうよぅう…ッ!」

「気持ちいいか?もう声も抑えていないようだし…とんだ淫乱男だな」

男の腰を打ち付ける動作は止まらない。他の男どもは俺の身体を触りまくる。
乳首を引っ張ったり捏ねたり抓ったり。俺の性器シゴいたり、他の奴らの性器を俺に押し当ててきたり。俺、淫乱なのかな。それだけで感じちゃうんだ。
気持ちいいって、感じてしまう。どうしよう。

「ッ…知っているかな平和島静雄くん」

「ふ、ぁ…?」

「君は次の駅で助かる、なんて思っているかもしれないが。実は線路内に不審物が置いてあるんだよ。という事はその不審物の確認や安全性を確認するのに訳一時間ほど掛かる。…という事は、もうどういう事か…分かるね?」

「ぁっ、あ…ぃや、いやだ…ッ」

「…それと、言い忘れていたが。この車両…何かおかしいとは思わないかい?」

男に言われ、周りを見渡した。そこには、俺を取り囲む男達。この車両全ての人間が俺を見ている。俺を、俺を…。

「っあ、あぁ…ぅそ、だッ…ゃん、やっ、やらぁあッ」

ハメラレタ。この車両まるごと、俺を犯したい連中で埋めつくされてる。しかも線路内に不審物があって安全確認の為このまま一時間ほど止まる、だと…?
絶望で目の前が暗くなる。

「さっ、此処にいる皆と気持ち良い事して遊ぼうな、静雄くん?」

「は、はっ…あっ、ぁああ…ッ」

ドクン、と中に放たれる精。欲に飢えた男が俺を取り囲む。
今の俺に、逃げ道は…無い。



感情とは裏腹に、身体は待ち受ける快楽にブルリと震えた。

―――――

え、続きませんよ?
私にはこれが限界です。
いつぞやの茶会でのネタ。男性向けの痴漢モノって…私には無理だって…(切実

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