ヤバイヤバイヤバイ!!
「しーずおー」
今は夜。目を開けたらすぐ傍に自分と同じ顔。
息苦しいと思っていたら、こんな状況。
自分と同じ顔をしたやつが馬乗りになっていて、悪い笑みを浮かべている。
「お、おいデリック…、お前何して…!」
「夜這いー!」
良い笑顔で言われた。
このまま流されてたまるか、と腕に力を入れて目の前の男を退かそうとするが、どうも力が入らない。
どういう事だろう。こんな事、今までなかったのに。
「ああ、ちょいと静雄の力、今オレが預かってんだよー」
「はぁ!?どういう…!」
「オレはお前、お前はオレ。前に言った事あったろ?オレ達は繋がってる。だから…その…、えっと…、そんな訳で?」
「どんな訳だよ!全然分かんねぇ…!」
「じゃあいつも感じてる気持ち良さより、もっと気持ち良くしてやっから。それでいいだろ?終わったら静雄の力返すし」
「そういう問題じゃ…!」
という事はなんだ。自分は今ただの人間なのか。
嬉しくも、哀しくもなった。人間になりたかったのは確かなのに。
いざそのバケモノの力が無くなった途端怖くなった。自分が、怖い。
「優しくするからよー。静雄は大人しくオレに任せてろって」
任せてられないから怖いんだろうが。
すでに乱れていた服をさらに乱される。ボタンなんて関係なし。
弾け飛んでコロコロと転がる。ああ、また弟から貰った服が台無しに。
でもボタンさえ探して付ければ問題ないか。なんて考えているとあっという間に全裸。
手際が良すぎるのも問題だと静雄は思った。
「んー、約一カ月ぶりの静雄の身体ー!スベスベー!」
「は、ぁ…、」
這い回る冷たい手。静雄はビクビクと身体を振るわせる。
何度やっても慣れないこの感触。ゾワゾワとして気持ち悪いような。
頭が痺れる。
「静雄は触られるだけで感じちゃうのか?やらしー!」
「ひぅ、あ…ちがッ…」
「まー、今はオレの快楽の感度を半分静雄に貸しちまってるからかもなー」
いつもはこんな事で感じたりしないのに。こんなに小さい快楽を拾うのはお前のせいか!
静雄は声を張り上げたかったが、出てくるのは喘ぎ声だけ。
違う、違う。感じたくないのにッ。
「ぉあ?静雄ー、乳首立ってんぞー」
「えぅ…だ、ってぇ…」
「分かってるっつーの。静雄は淫乱だもんな。肌を触ってるだけで感じちゃうんだもんなー?」
デリックはニヤニヤと笑いながら今度はプクリと立ちあがった静雄の乳首に噛みついた。
「っひ、ゃあああ!!…ァ、ぁう、あうぅ…」
デリックが噛みつくと同時に静雄の口からは悲鳴のような声が上がる。
ビクビクと震えたあと、そのまま荒い呼吸を繰り返す。
「…あれ、静雄イっちゃった?乳首に噛みついだだけなのに?」
「ンは、はァ…」
「んー、オレの感度の方が強かったか?でも、静雄は大丈夫だよなー?」
虚ろな目。グルグルと身体中を回る快楽に思考が追いついていかない。
普段の力が無いせいもあるのか、余計に感じているような気がする。
「さて、こっからが本番だぞ静雄。まだ寝るなよー」
「ぁ、やだ、デリッ、…も、いやだッ…!」
「何言ってんだ。ココ、こーんなにしてるくせに。気が吹っ飛ぶくらい気持ち良くしてやっから、な?」
ペシペシと性器を叩かれる。そんな些細な事でも静雄はビクビクと身体を振るわせる。
尋常ではないくらい感じてしまうのだ。頭が可笑しくなるぐらい、気持ちが良いのだ。
まるで薬漬けのようになった気分。ぼぉっとする。
「ぁ、あ…デリ、デリック…ッ」
「あーもー、そんなウルウルした瞳で見んなよー!だから世の野郎が静雄の事ほっとかねーんだよ」
「ぇ、う…?」
「いつか輪姦とか強姦とかされてもしらねーからな?」
何を言っているのだろう。彼の声が耳に入ってこない。
必死に呼吸をする事しかできない。ただ触られただけでこの快楽なのに。
入れられでもしたら、どうなるんだろう。
「静雄ー、入れるぞー?」
「は、ぁあ…」
「あれ、おーい静雄?聞いてんのかー?…まぁいいか」
指で後を広げられる。冷たい風が触れる感触にブルリとした。
そのまま慣らされされもせず、熱いモノが入ってくる。痛いと思っていたのだが、スムーズにそれは入ってきた。
「ひ、ン…、ぅんんーーッ!!」
「入れられただけでまたイくとか…静雄、どんだけ淫乱なわけ?」
ケラケラとデリックが笑う。静雄は反論する暇もない。
絶え間なく押し寄せる快楽。ビリビリとしたモノが躯中を駆け巡るのだ。
躯中全てが性感帯になってしまったような。これはもう身体の何処かを触られただけでイってしまうのではないだろうか。
「さって、動くぞ静雄―。気をしっかり持ってねーと、イっちまうぜ?」
腰を掴まれると、そのままギリギリまで抜かれ奥まで一気に貫かれる。
脳天まで痺れる感覚。全身が揺さぶられ、思考が追いつかない。
「ぁ、あ、っあ、!ひゃ、ぅううーッ」
「んー?あー、気持ち良いか静雄?いや、静雄には気持ち良すぎるのか?」
「やん、ゃああッ!は、ぅあ…あああぁ…」
何度達しても止まらない旋律。可笑しくなる。狂ってしまう。
こんな時、あのバケモノ染みた力があったら良かったのに。
デリックは静雄の頭を優しく抱えると深くキスをする。すでにふにゃふにゃになっている静雄はデリックのなるがままだ。
舌を絡められ、吸われて甘噛みをされる。それだけでもビクビクと身体を振るわせ静雄は達っしてしまう。
「ん、静雄…中、出すぞ?」
「あ、ァあ…ん、ふぁあ…!ぁ、ついィ…」
「ふ、かーわいーッ」
ピクリ、と腕が震えた。ドクドクとまだデリックのが中で脈打つなか、身体が動くようになった。
先程まで全く動かなかった指先が、動く。腕も、脚も、動く。
これはもしや。デリックに一時的に奪われていたあの力が戻ったのでは、と静雄は身体に力を込める。
「よーし、第二ラウンド開しッ…て、あれ?静雄?何で動けるんだ…?」
「そ、だなぁ…手前が奪ってた俺の力が、戻ってきた、んじゃねぇかぁ…?」
サー、とデリックの顔色が悪くなる。無意識に奪っていた力を達したと同時に静雄に戻してしまったのだろう。
逃げようにも静雄に脚を掴まれて逃げられない。無理に逃げようとすれば脚が砕けるだろう。
現に静雄は掴んでるデリックの脚からは骨が軋む音が聞こえる。
「痛い痛い!静雄!脚超痛い!今日の事は謝るから!謝るからー!」
「謝って済む問題じゃねぇんだよ…。じゃあ今度はお前が俺に与えてた快楽の感度、返してやるよ…」
「あれ?おかしいなー静雄。どうして返すだけなのに拳を振り上げてるんだ?仮にもオレはお前…」
「関係ねぇんだよ!!」
ガッと音と共にデリックは吹っ飛んだ。
ああ、暫くアイツとは関わりを絶とう。静雄はそう心に決め、ぐしゃぐしゃになったベッドで丸くなった。
愛しすぎて、ごめんなさい!
(静雄ー、静雄ー…ぐす、ぐすッ)
(あれ、何でデリちゃんが居るの?)
(しずおに、お家、追い出されたんだって)
(はは、ざまぁないねデリック!シズちゃんにそんな事するからだよ!!)
(じゃあ臨也にはその様子録画してたやつ見せねぇから)
(え!?ぅ、ご、ごめんデリック…見せて下さいお願いします(土下座)
((……………))
―――――
予想外に内容が濃くなった!