「ひびやぁー、すきー、すきすきー」

「…デリック、飲み過ぎですよ」

「そんなことねー!ひびやが飲んでねーだけだー」

ソファで一人飲んだくれているのは白いスーツにピンクのストライプのシャツを来た男。
その隣で困ったように相手をしているのは金色の王冠にマントの男。
二人は、一応恋人同士である。

白いスーツの男、デリックがこうなってしまったのは数時間前。
大量のビール缶を持って臨也の家にやってきたのが始まりだった。

「…デリック、その…ビール缶は一体…」

「お?今日は日々也しかいねーのか?」

「ええ…。臨也は津軽さんとサイケを連れて静雄さんの処へ行ってまして…」

「ち、なーんだ。すれ違いってやつか。まー、いーや。日々也、一緒に飲もうぜー!」

そう言って差し出してきたのが先程の大量にビール缶が入った袋。
静雄と共に飲もうと思ったが、彼が飲めないという事で一緒に飲む相手を探していたらしいとの事だ。

「…少しだけですよ?あまり飲んでは身体に悪いですから」

「人間じゃねーのに身体に悪いとかねーだろ?ガンガン飲もうぜー」

そんな会話が数時間前。床に転がる缶はもう十は超えているだろう。

「デリック、もう止めた方が…」

「あー?まだいけるっつーの!」

明らかに目が据わってない。頭もゆらゆらと動いているし…。呂律もあまりまわっていない。
それにこんなヘラヘラしている彼を見た事がない。
いくら自分達が人間じゃないにしろ、これはそろそろ危険なのではないだろうか…。

「デリ…」

「あのなーひびやー…」

「はい?」

「オレさー、ちゃーんと、ひびやの事好きなんだぜー?」

「…はい」

「ひびやは、オレの事、好きかー?」

「はい。好きですよ」

「…オレ、静雄の事も好きなんだー…それでも好き、か…?」

「はい。大好きです。だってデリックの静雄さんに対しての愛は仕方のないものですから」

「へへ、オレ、静雄も好きだけど、ひびやも好きー!」

子供のように日々也に抱きつくデリック。彼は静雄への想いで具現化された思念体。
それ故オリジナルへの愛は決して揺るがない。だが、そんな彼でもオリジナルの他に好きな相手が出来たのだ。
それが自分だと知れば、日々也は嬉しくて堪らない。
日々也はデリックへの想いで具現化された思念体。それ故デリックからの愛を欲している。
けれど彼はオリジナルしか愛していないと思い諦めていたのだから、余計にその嬉しさは大きい。

「…愛していますよ、デリック」

「うん、オレもひびやの事、あいしてるー!」

今現在酔っているから自身で言った事は忘れてしまうかもしれない。
でも、気持ちは伝わっている。相手を想っている気持ちは伝わっている。

「…ずっと、愛していますよ、私の愛しいデリック」



(ただい…、てッ、何コレ!なんでこんなにビール缶が転がって…!)
(あ、お帰りなさい臨也。すみません…デリックが…)
(ただいま日々くんー!うわ!酒くさーい!)
(お酒…?飲んだこと、ない…サイケ、飲んでもいい?)

―――――
日々也とデリ雄…実はラヴラヴ説

『BRAIN』の花姉様に捧げまする!

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