*限りなく幽静幽
*攻めっぽい受けな幽
OK?↓
兄に好意を抱いていると自分自身で理解し始めたのはいつからだろう。
朝起きて、仕事に出かけて、寝るまで。ずっとずっと頭から兄の姿が離れない。
いまどこで何をしてるのか。また喧嘩ばかりしているのではないか。
最初はただ心配しているだけだと思っていた。けれど、それは恋心だと気付いたのは、ある夢をみてから。
それは、俺が兄に抱かれている夢だった。不思議と嫌な感じはしなかった。
ただ、嬉しい。そう思った。けれど、よく、分からなかった。何が嬉しいのだろう。
抱かれた事に対して嬉しいと感じたのか。愛というモノをまだ理解できてない俺にとって分からない問題だった。
「…抱かれたら、分かるの、かな」
ポツリと一人呟いた言葉。携帯を開いて、兄の名前の処までキーを動かす。
『平和島静雄』。尊敬するべき兄であり、密かに想いを寄せる相手。
抱いて欲しい、なんて電話越しに言えるわけもない。頭が可笑しいのか、なんて笑って誤魔化されるだろう。
嘘、なんて一度も吐いた事はないけれど。この想いがなんなのか確かめたい。
だから、少し震える手を押さえてコールを掛けた。
*****
「急にどうしたんだよ、幽」
少しだけでいいから会えないか、と兄に電話を掛けてから数時間後。
俺は兄である平和島静雄のアパートに居た。兄さんは俺が上げたバーテン服を着て、タバコを吸っていた。
ドクドクと心臓の音が高鳴る。
「あのね。少しお願いがあってきたんだけど」
「お願いって…幽が俺にか?珍しいな」
お願いってほど単純なものじゃなんだけど。微笑んで話しを聴く体制にはいる兄さん。
「今度の映画がちょっと変わってて、男同士の愛を描く映画なんだけど」
そう言ったら兄さんが少し顔を歪めた。
「そういう映画だから勿論ヤる事はヤるんだけどさ。問題はそこで、兄さんに相談があったのはその事なんだ」
「…なんだ?」
「俺、そういう事した事ないから。兄さんに少しだけ手伝ってもらいたいんだ」
「手伝うって…具体的にどう…」
「俺の事抱いてみてって事」
ガタン!少し大きな音を立ててテーブルが動いた。兄さんが動揺してテーブルを叩いたらしい。
「お、おま、え…何言って…!」
「役作りはして置きたいんだ。こんな事兄さんにしか頼めないんだよ。だから、兄さん、お願い」
ジッと兄さんの眼を見つめて視線を外さずにいると、兄さんの顔はみるみる内に真っ赤に染まっていく。
口をパクパクと動かして、まるで金魚みたい。
もう戻れないんだ。兄さんが拒否をしても、俺は意地でも俺の事抱かせてみせるから。
兄さんの肩を押して俺が馬乗りになったようになる。兄さんはまだ状況を理解できていないようで身体が強張っている。
可笑しいな。兄さんが抱かれる訳じゃないのに。
バーテン服を脱がせて、露わになった兄さんの胸に耳を当てる。ドクンドクンと脈打つ音が聞こえる。
この音を聴くを安心するのは何故だろう。心地よい音に身体を任せていると、ガシッと方を掴まれて、視点が回転した。
俺の目の前には少し困ったような兄さんの顔。ああ、やっとヤる気になってくれたんだね。
「…ッ、本当に…いいのか?」
「くどいな、兄さん」
これから抱かれるんだと思ったら、緊張と嬉しさで胸が高鳴った。
*****
胸を這う兄さんの手が気持ち良い。夢の中では分からなかったけれど。
人の体温がこんなにも暖かいものだなんて思わなかった。
「ンッ…」
自然と息が荒くなる。兄さんも少なからず興奮しているようで時々唾を飲む音が聞こえる。
兄さんは壊れモノを触るような手つきで俺の身体を触っていく。
いつまでも入れてこない兄に痺れを切らした俺は、強硬手段に打って出た。
兄さんの身体を押し倒してまた俺が馬乗りになるような格好になる。
兄さんのズボンと下着をずらして出てきた兄さん自身を掴んで、そしてそのまま俺の中へと入れ込んだ。
ああ、やっぱりちょっと痛いかも。
「は、ァあ…んんッ」
「か、すか…」
なんで兄さんが泣きそうな顔をしてるのさ。まぁ、兄さんのは少し大きいけど。
俺だって伊達に兄さんの弟をしてるわけじゃないんだから。そんな顔しないでよ。
「ふ、…ほら、ちゃんと全部入った、よ」
「ッ…!」
兄さんの胸に手をついて腰を上下に動かす。その度グチュグチュと水音が鳴る。
嗚呼、俺と兄さん。繋がってるんだ。夢で見た事が実現するなんて。それこそ夢みたいだ。
…なんて。そんな夢心地に浸っていると、ググッと足を掴まれた。
「ぅ、あ…にぃ、さ…?」
「わりぃ、ちょっともう、耐えらんねぇ…ッ」
片足を掴まれて兄さんのが奥まで当たる。やっと理性とお別れしたのか、兄さん。
ちょっと遅すぎるよ。こっちは待ちくたびれちゃったんだから。
責任、とってよね。
「ひ、ァ!あぅッ…!あ、あ…ァあ!」
「ッ、くぅ…ッ!」
「ふふ…、やけに、がッつくね、ぁ…兄さん」
「あー…なんか、お前見てたら、…身体が熱くなって、よ…」
何かが抑えきれなくてこうなった。
なんて言ってくるから俺の方はビックリして中に入ってる兄さんを締め付けてしまった。
こうなったら兄さんに全てを任せようか。兄さんの首に腕をまわして引き寄せる。
「じゃあ、もっと熱くさせてよ。兄さんので俺をいっぱいにして」
ドクンと中に入っている兄さんが大きくなった。ふふ、可愛いなぁ、兄さん。
感情に素直なのがここで仇になるとは兄さんも思ってなかったんだろうな。
「…どうなってもしらねぇからな」
「大丈夫だよ。だって俺は兄さんの弟なんだから」
この気持ちに気付いたのはつい最近の事。もう、普通の兄弟なんかには戻れない。
まだ兄さんは俺のこの気持ちに気付いてはいない。だけど、いつか本気にしてみせる。
「ん!あ、…はァ!ぁんッ…あ、う、あぁ!」
「かすか、幽…ッ!」
「にぃ、さん…!」
好きだよ。
なんて。まだそんな事は言えない。だから、今はまだ。嘘を吐かせて。
いつか。いつか絶対に言うから。だから今だけは。
もう少し、このままでいさせて…。
後戻りなど出来ないくらいに
俺は深く深く兄という存在に溺れていた。
――――――
幽静幽…な感じになってしまったのですが…。
零様、大丈夫だったでしょうか!?
精一杯頑張ってみましたッ!!こんなのですみません!
リクエストありがとうございました!!
『Aコース』様よりお題をお借りしました。