「あのー、シズちゃん?」

「…んだよ」

「何、この状況」

俺、折原臨也は、ただ今ピンチです。何、何なのこの状況。
ちょっと仕事で池袋に来て、フラフラしてたら突然腕を掴まれて路地裏に連れて行かれたと思ったらコレだ。
腕を掴まれた時点で相手は誰だか分かってたけどさぁ…。ジンジンして痛いんですけど、腕。

「俺はシズちゃんと違って至って普通の人間なんだからさ。もう少し優しくしてくれないかなぁ…」

「手前に優しくしろ、だァ?無理に決まってんだろうが」

「はは、だよねぇ」

嫌な予感はしてたんだよ。あーあ、何で俺今日池袋なんかに来ちゃったんだろう。
これほど自分を呪いたくなった事はないよ。
大体、こんな薄暗い路地裏でする事って言ったら一つしかないし。
嗚呼もう、シズちゃんって余裕ないから困っちゃうよね、本当。
それに付き合ってる俺もどうかと思うけど。本当に、変な関係だよね、俺達。

「…おら、後向け」

「ええー、いきなり?ちゃんと慣らしてから入れてよ?」

「さぁな」

「はぁ!?慣らさないと痛いんだよ!?シズちゃんは俺の痛みが分かんないからそんな事言えるんだって…」

「いい加減、もう黙れ」

頭をガッと掴まれて壁に叩きつけられた。かなりシズちゃんも手加減したんだろうけど、痛い…。
頭が揺れる。ベルトをガチャガチャと外す音が聞こえる。
今日のシズちゃんはかなり余裕がないみたいだ。下半身がひんやりとした風に触れる。
孔にシズちゃんの指が入って来る感覚。ああー、気持ち悪い。
ま、ちゃんと慣らしてくれるんならまだマシか…。

「ン、ん、ぐ…ッ」

気持ち悪い。気持ち悪いはずなのに、何で気持ち良いって感じちゃうんだろう、俺。
俺、もう末期かなぁ。あーあ、最悪。
しかも、シズちゃんこういう行為はあんまり無いはずなのに、時々…本当に時々、
俺の良い処に当たるから嫌になる。
まるでわざと外して焦らしているよう。テクニシャンじゃないはずなんだけどな、シズちゃんは。

「う、ぁ…!あ、ァ…!」

「感じてんのか?」

「ッ…、ぅ、るさ…ッ、ひァあッ!」

「ほら、感じてんじゃねぇか」

「ぃ、…く、そ…ッ!」

何でこんなにシズちゃんは余裕なんだよ。ムカつく。ムカつく、ムカつく…!
俺だけ感じて馬鹿みたいじゃないか。ああもう!

「シズッ、…シズ、ちゃんッ…!」

「あ”ァ?」

「も、…もういいから、…早く、…ッ」

自分で何を言っているのか理解したくない。これじゃあ俺が淫乱みたいだ。
馬鹿、俺の馬鹿…!て、いうか、シズちゃんの馬鹿野郎!!
シズちゃんはニヤリと笑うと、指を引き抜いて自身を宛がってきた。
グズン、と身体が疼いたのが分かった。俺の身体は意志とは関係なく動く。
何で、何で…。俺の身体のはずなのに。ふざけるなよ…ッ。

「ぁ、あ、…ぅ、ぐッ、ああぁぁッ…!」

「いッ、つ…!やっぱキツイな…」

「は、ぅ…は、ぁぁあ、んッ!」

どうしよう。気持ち良い。良すぎて頭おかしくなりそう。
溺れてしまう。どうしようもなく、溺れてしまう。もがけばもがくほど、深く沈んでいく。
路地裏に響く俺達の水音。ああ、耳を塞ぎたい。
どうしてこんな関係になったんだっけ?…ああ、そうだ。
俺が冗談半分でシズちゃんのこと誘ったら、こんな関係になっちゃったんだっけ。
こうなったのも、全部俺のせいか。
でも、そんな関係も一回だけだと思ってたけど。何でシズちゃん、俺とこんな事したがるのかな?

「ぁ、のさ…シズちゃん…」

「………」

「シズちゃん、ってさ…何で、俺と、…ンッ、…こんな事、する訳…?」

振り返って、少しだけ見えたシズちゃんの顔は少しだけ驚いていたように見えた。
何で驚くの?もう一度話し掛けようとしたら腰を掴まれて奥まで届くぐらい強く突き上げられた。
…今の、一瞬記憶が吹っ飛ぶかと思ったよ。

「何で…だと?」

「え、ぅあ、あ、…ちょ、ちょっと待ってシズちゃんッ!激しッ…!」

「そんなの、決まってるだろうが」

「や、駄目、ダメだってッ、…ソコ、ソコは、ぁ、あぁぁッ!」

記憶が本当に吹っ飛ぶかと思うぐらい激しく突き上げられて、俺は達してしまった。
ホント、情けないよね。あの情報屋の折原臨也が、池袋最強の平和島静雄相手にこんな事してるなんてさ。
ああ、本当にもう。馬鹿みたい。意識が薄れかけている処に、情け容赦なく降りかかってきたシズちゃんの言葉を聞いた後、
俺の目の前は完全にブラックアウトした。



嗚呼、なんて理不尽な理由。

―――――
あれ、何かまたセフレな関係か。
ラヴいの書きたいのに、何でこうなるの。

『モノクロメルヘン』様よりお題をお借りしました。

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