午後三時。俺はシズちゃんと池袋の駅で待ち合わせをして、そのまま新宿の俺の家へ向かった。

そこで、恋人らしい事なんて未だにした事がないなとふと思った。
隣でキュイキュイとシェイクを飲んでいる恋人、平和島静雄。
ちなみにこのシェイクは俺の家に来る途中に彼が飲みたいと言い出したから買ってやったモノだ。
恋人同士がやる事はもうやっているけれど、それは大人の営みであって可愛らしいモノではない。
二人で買い物に行くとか、一緒にお風呂に入るとか。俺はそういう事をしたいのに。

「ねぇねぇ、シズちゃん!」

「…んだよ」

眉間に皺が寄る。この場合問答無用で彼にブチ切られるのがオチだ。
だが今回は策がある。だって彼が飲んでるシェイクは俺が買ったんだ。
お礼ぐらいして貰いたいもんだよねぇ?

「耳かき、していい?」

「却下」

「でもさ、そのシズちゃんが飲んでるシェイクは誰が買ってあげたのかなぁ?」

するとシズちゃんはバツが悪そうな顔をした。
そりゃそうだ。シェイクを持っている手に力が入っているのが目に見えて分かる。
恥ずかしいのかな?それはそれで可愛いけどさ。
俺達、恋人同士なんだよ?それらしい事はしたいじゃん。ねぇ?

「で、でも…!」

「でも?シズちゃん、言い訳するの?俺達恋人同士なんだよ?耳かきぐらいいいでしょ?」

両手に耳かきを持って迫ればシズちゃんがどもり出した。
顔をキスが出来るまで近づけばシズちゃんはおずおずと、

「…ちょ、ちょっと、だけ…だぞ」

折原臨也、やり遂げました!!



♂♀



「痒い処はありますかー?なんてね!」

「ん、…別に、」

シズちゃんの頭を俺の膝の上に乗せて、優しく撫でるように耳かきをする。
くすぐったいのか、時折シズちゃんは躯を捩る。無意識に力が入っているようで身体が硬直していた。

「シズちゃん、力抜きなよ」

「だ、って…なんか、怖い、し…」

若干涙眼で目線だけこっちに向けてくるシズちゃん。ちょっと待って。
俺耐えられないかもしれない。なんとか気を逸らそうと耳かきに集中した、その時。

「あ、ッ!」

シズちゃんから聞こえないはずの甘い声が。ふと見てみればビクビクと震えてる躯。
ん?どういう事、これ。
もう一度確認しようと耳の奥まで入れて小さく動かしてみた。すると…。

「ひ、ぅ…ン!あ…ッ」

え、え…。なになに?これってもしかして…!

「シズちゃん…?どうしたの?耳かきで感じちゃってるの?」

「ぇ、う…わから、な…ンぅ!」

そういえば、シズちゃんは外側は鉄壁みたいに固いけど内側は脆いもんね。
それは夜の営みで知ってるけど。まさかこんなにも弱いなんて思ってもいなかった。
くりくり、と中を軽く弄ってやれば同じようにビクビクと震え、甘い色を含んだ声を出す。

「ぁ、あ…いざ、ゃ…やめッ…!」

「まだ左の耳しかやってないよ?今度は右の耳だからね」

「や、…そ、じゃ…なく、てぇ…ッ!」

シズちゃんが何か言いたそうだったから、耳かきを一端止めて聞き入った。
そうしたらシズちゃんの口から思ってもない言葉が出てきた。

「も、臨也の…入れて?」

ぎゃあああ!!どうしたのシズちゃんんんん!!
様子がおかしいとは思ってたけどここまでとは…!今日は何の日!?
シズデレの日なの!?それはそれで嬉しいけど!
滅多に見れないシズデレ!願ってもないチャンス!!

ああ、これが夢じゃなくて現実だったらよかったのになぁ!!





………ん?





“夢じゃなくて現実だったら良かったのに?”





………まさか。





「――――ッは!!」

起き上がったら、そこは自室だった。今の時間は二時半。そろそろシズちゃんとの待ち合わせ時間だ。
と、いう事はやっぱりさっきのは夢…?
なんて事だ…!貴重なシズデレがまさかの夢オチだなんて…!
若干ズボンがぐっしょりしているのはなんでだろうね。考えたくないね。
俺泣きそう。いやでも、待てよ?
正夢になる可能性も無きにしも非ずという事で…!

「ふ、ふふ…待っててシズちゃん…!今からすぐ行くからね…!!」

The dream is an after all dream

(シズちゃーん!耳かきに弱いシズちゃんが見たいしそのままヤっちゃいたいからシェイク買ってあげるー!!)
(うわ、何だコイツ気持ち悪い消えろ死ね変態)

――――――
耳かきネタだよバァーン!!
まさかの夢オチww

題名の意味は『夢は所詮夢』ですの!
うん…gdgd!

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