キラキラ、キラキラ。
なんだかやけに輝いて見える。
あんなにいつもキラキラしていたっけ?
笑顔でファンにサインを書く俺の相棒。
外に出ればいつもと変わらない光景なはずなのに、今日はなんだか少し違う。
可愛い女の子に囲まれて、笑顔を振りまくバニー。
それ自体は別にいつもの事だから嫌ではない。
なんだろう。よく分からないけれど、やたらとバニーがキラキラしているように見える。

(…こういうの、なんて言うんだっけか…)

うーん、と頭を捻る。皆は気付いていないんだろうか。
もしかして俺だけ?俺だけがバニーの変化に気付いてるんだろうか。
一人でベンチに腰かけ、じっとバニーを見つめる。
うん、やっぱりキラキラしてる。
なんかこう、妖精がアイツの周りをクルクル回ってるような…。

(いや、違うな……)

今のは例え方が悪かったな。そうじゃなくて、なんて言ったらいいんだろうか…。
アイツがキラキラしてるから、その周りにいる女の子達もキラキラしているようにも見える。
変なNEXTにでも出会ったのか?いやいや、今日はバニーとはずっと一緒にいたし、それなら俺もそんなNEXTに出会ってるはずだしな…。
俺は別にキラキラしてないし。

(わっかんねー…)

もしかして俺の目が変なのか?俺が変なのか?
昨日はこんな変な事なかったし、俺も道中変な人には出会ってねぇし…。
益々頭を抱えた。
サインを書き終えたのか、バニーがこっちに戻ってくる。
近づいてくると同時に、あのキラキラも増す。

「虎徹さん?どうかしたんですか?」

「え?い、いや…別に…」

「もしかして、待ちくたびれました?」

「へ?そんな事はねーんだけど…なんていうか、お前が…」

「僕が?」

キラキラしてるように見えるんだ、なんて言ったら笑うだろうか。
こうしている間もバニーはキラキラ輝いてる。
キョトンとしている表情も、なんだかとても格好良く見える。いや、いつも格好良いんだけどさ…。
それが更に増してもう眩しいぐらい輝いていて、俺は目を合わせる事が出来ない。
こんな男と俺が付き合っているなんて、本当ありえない話だと思う。
こんなハンサムなイケてる男と、中年のオッサンだぞ?
まぁ、でもお互いに好きになっちまった訳だし、それはもうどうしようもないというか…。

「虎徹さん?」

「………」

「…?」

でも、やっぱり好きだなーって思う。どこが好き?って聞かれたら全部って答えるぐらい、好き。
ああ、本当…俺コイツの事好きだなー。

「疲れたんですか?少し休憩します?」

「いや、大丈夫だ。それより、っ!!」

「…??」

うわ、バニーの顔が思いの外近くにあったもんだから、心臓がドクンと脈打った。
あんなハンサム顔が不意に近くにあるって良い意味で心臓に悪いな…。
今顔が物凄く熱いんだけど、やっぱ顔真っ赤になってんのかな。
うう、バニーの方に顔向けらんねぇ…っ!
俺があまりにも挙動不審だからバニーがどうしたのかと首を傾げている。
あの綺麗な顔のパーツの一つである眉が下がって、心配そうな表情を作り出していた。
そんな顔もハンサムだなんて、神様は本当卑怯だと思う。

「よ、よし!そろそろアロポンメディアに帰るか!なっ!!」

「…本当に大丈夫なんですか?」

「大丈夫、大丈夫!!なーんも心配いらねーよ!」

精一杯平常心を保ってみたつもりだが、逆にちょっと変だったかもしれない。
様子が可笑しい俺を見て、バニーがスッと手を差し出してきた。
俺がその手を見つめ、ハテナマークを頭の上に浮かべていると、バニーはニコリと笑った。
笑うと同時にアイツの周りに漂ってるキラキラが更に輝きを増した。うん、とっても眩しい!

「虎徹さん、手を」

「手?なんで?」

「手を繋いで帰ろうかと思いまして」

「え、だってそれじゃあ…皆に見られちまうんじゃ…」

なんだそんな事、と言ってバニーはふっと笑った。
普段俺達は外では誰も見ていないような所で手を繋いだり、隠れてキスをしたりしているのだが。
こんな事をバニーの方から言ってくるなんて珍しい。

「僕が繋いで帰りたいんです。ダメですか?」

俺の手を取って、手の甲にキスをするバニー。
その時俺は今まで疑問だったバニーのキラキラの原因が分かったような気がした。

「…お前、王子様みてぇ」

そうだ、王子様だ。誰にでも優しくて、キラキラしていて、媚びてなくて。
俺がそういうと、バニーはクスクスと笑った。

「いいですね、王子様。じゃあ虎徹さんは僕のお姫様って事になるんでしょうか?」

「お姫様って…なんか、ヤダな…」

「僕だけのお姫様、か…なら、今日はお姫様抱っこをしながら帰りますか?」

「い、いや!普通に帰ろう!」

「えー…」

「うっ、な、なら手を繋いでもいいからさ…!」

それなら、とバニーは俺の手を繋いで歩き出した。
俺の手を引っ張るバニーから、少し変わった匂いが漂ってきた。いつもと違う香水だ。

「…お前、香水変えた?」

「…今日だけ、ちょっと変えてみようかなって思ったんです」

香水を変えたから、バニーがやたらキラキラしているように見えたんだろうか。
匂いを変えただけでこんな雰囲気までガラリと変わるもんなのか。
俺も今度変えてみようかな。
今日のバニー、俺から見たらずっとキラキラしてたんだぞ、と言えばバニーは小さくふっと笑った。

「なら、今日からずっとこの香水にしてみようかな…」

「え!いや!それはちょっと…!!」

バニーは冗談です、とまた笑った。あんなにバニーがずっとキラキラしてるなんて、俺が耐えられない…!
バニーから香る良い匂い。目一杯吸い込んでみる。
俺の手を引くバニーを見れば、また一段とキラキラ輝いていた。

(うん、やっぱり王子様だ)



姫なんて本当は嫌だけど、手を繋いでるこの瞬間だけは姫でいいかも、と少しだけ思ったりもした

――――――
スランプから未だ脱出出来ずにグダグダ文
王子様兎ってどう書くの…。
いつか王子様兎をリベンジしよう。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -