貴方の初めては誰?なんて、聞かれた事があった。
聞くまでもない。初めて会った名前しか知らない男だった。
自分が望んで得た職業だったが、自分から望んで身体を差し出した訳ではない。
自業自得。まさにその言葉が当てはまるだろう。
ああ、あの頃の事を考えていたらその時の事を思い出してしまった。



ヒーローになって、よく公共の物を壊すようになった。
人助けの為として容赦なく壊していたある日、ベンさんから呼び出しが掛かった。

「スポンサー様が、お前に話があるんだと」

「俺に?接待って事ですか?」

「まぁ、いろいろあるみたいだから、気をつけてな」

待ち合わせはとあるビルの一室。時間は夜の十時。
妻の友恵が亡くなって我武者羅に働いていたせいもあるのか、ここ数日まともに寝る事も出来なかった。
まだ幼い一人娘の楓を育てて行くには俺が稼がなきゃいけない。
そんな思いだけがずっと自分の中で渦巻いていた。

夜。アイパッチをし、指定されたビルに向かう。受付に自分の名前を言えばキーを渡されすんなり部屋の中へ招かれた。
そこには名前は知っているものの、始めてみる人ばかりが居た。

「ど、どうも…ワイルドタイガー、です」

「君がワイルドタイガーか!いやぁ、生で見ると一段と素晴らしいな!」

男達は目を輝かせて笑う。とりあえず水でも、とコップを渡される。
特になんの疑いもしなかった俺は、始めて会う人達に緊張していたせいか喉が渇いていたので、ソレを躊躇なく飲んだ。
それがいけなかったのに、その時の俺は本当に経験が浅かったんだと思う。
暫く他愛のない話をしていると、なんだか身体が熱くなってきたのだ。
呼吸が上手く出来なくなってくる。可笑しいな、と思っていると男の一人が話しかけてくる。

「所でワイルドタイガー。君はやたらと賠償金を積み重ねていくようになったね?」

「…そ、れは…っ」

「ご家族の事があるのも勿論我々は知っている。でもこのままだと君の借金は増えていくばかりだよ?」

それでいいのかな?と、男達は言う。良くない事は分かっている。
けれどどうしても現場に立つと人助けを優先してしまい、その為に物を壊すに対して罪悪感をあまり感じなくなってきていた。
苦しくなり、身体の自由が利かなくなる。薬を盛られたんだ、と気付いたのはその時だった。
荒い呼吸を繰り返す俺に、その男達は更に言葉を続ける。

「賠償金の事は我々がなんとかする。しかしその変わりに、君には我々の相手をしてもらいたいんだ」

身体を抱き抱えられ、隣の部屋へ移動させられる。そこには大きなベッドが一つ。
男達は自由が利かない俺の着ている服をどんどん剥ぎ取って行く。
これは、所謂枕営業をしろと言われているんだろう。枕営業なんて噂だけだと思っていた。
それがまさか自分に降りかかろうなんて。
NOなんて言った所でこの男達はいろんな事を言って俺を脅すんだろう。

「……俺が、相手をすれば…いいんです、か……」

絞り出した声でそう言えば男達は嬉しそうに笑った。
あの時の俺は本当にどうかしていたんだと思う。
友恵が死んで、小さな楓も育てていかなくちゃいけないくて、でも賠償金は嵩むばかりで。
頭の中がグチャグチャで、疲れていたんだろう。
ああ、本当に、俺は馬鹿だ…――。



「んんっ…!んァ!」

全裸にひん剥かれて尻にジェルの様な物を付けられて中を弄られる。
男にこうやってされるのは始めてなはずなのに、どうしてこんなにも感じるんだろう。
きっと最初飲んだ水に媚薬かなにか入っていたんだろう。
初めての感覚に震えが止まらない。

「本当に始めてなんだね、タイガー。こんなに震えてしまって」

「あっ、ゃ、やめ…」

「もっと気持ちよくなる薬も入れようね」

後孔に何かジェル状の物を付けられる。恐らく媚薬の含まれた物なんだろう。
付けられた所からジクジクと熱を帯びてきている。

「くぁッ…!ぁあっ、い…」

「ほら、勃った。気持ちいいんだろう?」

感じた事もないような刺激が身体中を支配する。
後ろの孔に男達の指がグチュンと音を立てて刺激を与えてくる。
目の前がグラグラと揺れ、気持ちが悪い。吐きそうな程強い匂いに頭痛がする。
乳首と後ろを弄られて、薬で敏感になっているせいか余計に感じてしまう。

「い゛ぃぃッ!!ああぁ゛!やめ、ぁあッ…――!!」

「さぁ、挿入るよ…?」

「っひ、ゃ…!まっ、それ、だけは…ッ」

男として後ろに入れられる事、それだけはなんとしても避けたかった。
けれど俺の言葉など聞いてくれる訳もなく。
男の一人が俺の脚を掴んで広げ、一気に俺の中へその大きなペニスを突っ込んだ。

「あ゛ぁあ゛ぁああッッ―――!!」

感じた事のない痛みに悶絶しながら悲鳴を上げる。言葉にならない程の痛み。
目の前がチカチカと揺れる。ああ、自分の身体が壊れて行くようだ。

「っ…凄い締まり具合だよ…本当に初めてなんだね…」

「ぅ゛あ…、あァア…ッ、ン」

男なんて受け入れるのは初めてだし。こんな事ある訳がないと思っていた。
だけど、男のペニスが俺の中に入っているのを見るとこれは現実なんだと理解してしまう。
痛みに耐えていると、今度は別の男が俺の口元へペニスを近づける。
咥えろ、と言う事らしい。抵抗をしようとしたが、無理矢理口を開かされ、思い切り突っ込まれる。

「んぶぅうッ!!んぐ、ぐゥうう!む、ァア゛!」

「噛むんじゃないぞ?舌を使って…、ッそう、そんなふうに…」

暫くすると、薬が効いてきたのか男を受け入れている尻がゾクゾクと快楽を拾い始めるようになった。

「ぁあ゛っ、あん、んんン!んぁあッ!ハァ、ああァ…――!」

「薬が効いてきたようだね。気持いいだろう?」

男の腰を動かすスピードが上がり、パチュパチュと肉と肉がぶつかり合う音が聞こえる。
俺のペニスもさっきからダラダラと液を垂れ流していた。
そろそろ絶頂に近づくにつれて身体がビクンビクンと痙攣し始める。

「や゛、ぁああ!も、もッ、い、イク、いっぅ…ッ!」

「んぐ、…」

「んんんン゛ーーッ!!あ゛ァアアっ――!!」

自分のペニスからの精液と男の精液で身体を汚し、男の精液が中で弾ける。
生暖かい液が腹の辺りにある事に気持ち悪さを感じつつも、盛られた薬の効果はまだ切れない。
身体が快楽を求めて疼いている。ハァハァと荒い呼吸を繰り返す。

「まだまだ楽しもうな、タイガー?」

「君が頑張れば、幸せに暮らしていけるんだから」

幸せに?本当に?もう苦しまないで済むのか?
男達の甘い誘いに、思考がまともじゃなかった俺は男達に縋るように呟いた。

「…も、っと…俺に…ご奉仕、…させ、てっくださ、ぃ…――」



これが俺の、どうしようもなくくだらない初めてのお話さ。

―――――――
昼ご飯を食べながらTwitterを見たらなぜか虎徹さん処女TLになっててビックリしたが、それで思いついた処女話\(^o^)/
処女を奪ったのはスポンサーモブでも美味しいし、兎でも美味しい。
兎の場合童貞兎×処女虎になるのかな?
それも中々…萌えるシチュではあるな(真顔



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