仕事終わりという事で少し油断していた事もあったのかもしれない。
背後から近づく男に気づくのが数秒遅れ、ガツンと頭を思い切り殴られる。
あまり痛いとは感じなかったが、目の前がグラリと揺らぐ。
弟からすぐ怒って相手を殴ってしまうのは良くない、と言われていたのを一瞬思い出し、どうしようか迷っていると何か腕にチクリとした痛みが走った。
即効性の薬か何かだったのか、途端に身体の力が抜けその場にへたり込んでしまう。
男達にズルズルと引きづられる形で路地裏の方へ連れて行かれる。
「平和島静雄なんて、こうなっちまえば楽勝だな」
「あの情報屋、マジで良い薬くれたよな!」
「大金を払った甲斐があったってもんだ」
クスクスと男達が笑う。情報屋、という事はあの男がなにかまたしたんだろう。
今度見かけた時は容赦なく殺しにかかろう。静雄はそう誓った。
これから何をされるのだろう。殴られるのだろうか。それとも切り刻まれるのか。
どちらにしても身体は動かせないので反撃は出来ない。
口もろくに回らない状態になってきた。男達が飽きるまで付き合うしかないのか、と半分諦めた時一人の男が静雄の服を脱がし始めた。
「ぅ、あ…っ、なに、を…っ」
「あの情報屋が教えてくれたんだよ。平和島静雄は表面を痛めつけてもダメージはほぼゼロに等しいから、内側を痛めつけろってな」
「俺達もヤれるし、一石二鳥だってよ」
「平和島静雄はヤリチン野郎なのかよって話だよな」
なんだその話は。初耳すぎて男達が何を言っているのか理解が出来ない。
グラグラと揺れる視界の中で男達は静雄の服を脱がし、仰向けにすると慣らしもせず静雄の後孔にペニスを突っ込んだ。
ピリリとした痛みを感じ、腹の辺りにある気持ちの悪い圧迫感に襲われる。
呼吸が上手く出来ない。酸素を必死に取り込もうとする静雄の口に、今度は別の男のペニスが突っ込まれる。
「んぶっ、んぅううーッ!!んぐ、んっ、ん…!」
「噛むんじゃねぇぞー」
「っはー、すっげぇ、締めつけ。これ女よりいいかもしれねぇな」
「おい、早く代われよ!」
「うるせぇな!少し待ってろ!!」
「う、んっ、はっ…――ぅぐっ、や…っ」
ビュルビュルと中に出され、気持ち悪さが増す。腹を圧迫していたペニスが抜けたと思ったら、今度は次の男のモノが突っ込まれた。
ああ、これは所謂レイプというやつなのかと静雄は漸く気付いた。
逃げ出したいのに、身体は思うように動かない。顔に精液が掛けられ、口の中にも出される。
あともう少しで我が家だったのに、服も引き裂かれてしまったし、これからどう帰ればいいのだろう。
ぼんやりそんな事を思い始めていたとき、ジャリ、と誰かが近づいてくる音がした。
誰だろう。この男達の仲間だろうか。そう思いふとその音がした方を見ると、静雄は目を見開いた。
帽子を深く被り、サングラスに黒いコート。ああ、なんで。
「誰だてめぇ!」
「俺達に混ざりたいのか〜?」
その男は男達の声を無視し、静雄の方へ近づきそして手を差し出す。
「帰ろう、兄さん」
「…か、すか……」
サングラスから少し覗く瞳に安堵した。
「なんなんだよお前はっ!!」
男の一人が幽に殴り掛かろうとするが、幽は軽々と避け男をポンと倒す。
護身術を身につけているのか、その場にいた男を全員倒してしまう。
何事もなかったかのように静雄の手を取り、着ていたコートを彼に羽織らせる。
「幽…っ」
「早く帰ろう。身体冷えちゃうよ」
覚束無い足取りで幽に支えられ帰宅する。
そのまま風呂場へ連れて行かれ暖かいシャワーを頭から掛けられる。
「幽…っ、お前も濡れちまうだろ…!」
「兄さんの身体の方が大事だよ」
「でも…」
「ほら、どこをどう触られたのか、言って。俺が綺麗にするから」
幽はそう言うと静雄の身体をゆっくりと触り始める。
口の中に入れられたと言えば、深い口付けがされた。舌を絡められ息が出来ない程濃厚なキスをする。
それから、手。手にも、まるで騎士が姫に誓いのキスをするように何度も何度もキスを降らせた。
最後に後ろ、と言えば指を入れられ、中に入っていた男達の精液を掻き出す。
「んっ、ふ…んぁ」
「感じちゃった?」
「だ、だって…幽の、指、が…」
「気持ちいい?」
こくん、と静雄は頷く。男達に触られるより最愛の弟にされる方が何倍も気持ちがいい。
掻き出した後、後孔にシャワーノズルを近付け綺麗に洗浄する。
それすらも感じてしまうのか静雄は必死に声を出さないよう口を両手で塞ぐ。
指なんかではなくて、もっと別の物が欲しい。静雄は小さな声で幽に問いかける。
「か、すか…頼む、もう…っ」
「全く。困った兄さんだな。このままにしようと思ったのに」
やれやれ、と幽は小さく笑う。後孔に弟のペニスが入ってくる感覚に足がガクガクと震える。
奥まで入れられ、そしてゆっくりと動き出す。
「んぁ、あ…ん、は、ぁあ…っ」
「っ兄さん、締めつけすぎ…」
「だ、って…ん、っあ!」
ピシャ、と浴室の壁に白濁が飛ぶ。軽く達してしまった静雄は恥ずかしそうに俯く。
そんな静雄の背に幽はキスをする。
左腕で静雄の腰を掴み、右腕で静雄の乳首をクリクリと弄ると、感度の良い静雄は震える。
「にぃ、さん…中、出していい…?」
「っあ、…さ、っさっき洗ったばっか、じゃ…」
「駄目…?」
ジッと見つめられ、静雄はただただ頷くしかなかった。見知らぬ男達の精液よりは愛しい弟の精液の方が何倍も嬉しい。
「ん、んんっ…――」
「ふぁ、あっ…ぁ、あ、つぃ…――」
ヘナヘナとその場に座り込む静雄に、幽はそっと抱きつく。
服はもう濡れてしまったので構う事なくぎゅっと抱きついた。
中々帰りの遅い兄を心配して外へ様子を見に行って良かった。
あのままじゃもっと酷い事をされていたかもしれない。
兄が元気になったら、この原因を作った男に制裁を与えに行かなくては。
(兄さんまでとはいかないけど、俺も怒ったら怖いんだから。覚悟してよ、オリハライザヤさん)
僕だけの大切な宝物
大切な人を傷つけられて、黙っちゃいないんだから
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シュレン様、遅くなりました!
リクエストありがとうございました!!
モブ静からの幽静、というリクだったのですが、楽しく書かせて頂きました!!
素敵なリクエストありがとうございます^^
そして犠牲になる折原…。
全然無理難題ではなかったので、次も宜しければ何かリクエストしてください!
リクエストありがとうございました!!