こういう時。本当に自分の浅はかさを痛恨する。
怪我をしたから治療でもしてもらおうと友人である医者の家へ行き、友人は少し用事があるから何か飲んで待っていて、というものだから、
勝手に冷蔵庫を開けてミネラルウォーターのラベルが付いたペットボトルを手にとりそれを飲んだ。
誰もが普通の水だと思うだろう。味もただの水だった。
しかし何が違っていたのかというと中に薬が入っていたという事だ。
しかも友人が作ったオリジナルの薬。ああ、本当にバカだと思う。

「いやぁ、ゴメンゴメン静雄。そういえば冷蔵庫にその薬があるのを忘れていたよ」

「……効果はなんなんだ」

「えーっと、なんだっけ…確か…本音しか言えなくなる薬、だったかな…」

「は?」

「なんて説明すればいいかな…。例えば好きな人に嫌いだって言おうとしても好きだって言ってしまう、って事かな」

静雄は頭を抱えた。静雄自体普段は本音しか言わないのだが、それは問題ではない。
この事を知ってしまってはマズイ人物がいるのだ。なんとしても隠し通したい。

「本当はセルティに飲んでもらおうと思って作ったんだけど、彼女口がないからさぁ、アハハハ」

「………」

「それなら注射にして彼女に打ち込めば良かったんだろうけどそもそもデュラハンにそんな薬が効くのかどうかっていう疑問がががぃいだだだだ抓らないで静雄痛いよッ!!」

「痛くしてんだよ。けど怪我を治してくれたのは感謝する」

「静雄にお礼を言われるなんて何年ぶりだろう!薬の効果かな?けど言ってる事とやってる事が違いすぎるよ!痛いって!」

痛い痛いと騒ぐ新羅。静雄は彼の腕を離すと急いでこの家から出なければ、と焦る。
いつまでもこの家にいたら見つかってしまう。いや、もしかしたらもう見つかってしまっているのかもしれないけれど。
怪我の治療をしてくれた新羅には感謝はしているが、同時にどうしようもない怒りも感じている。
慌てて玄関のドアを壊さないように開く。そこで静雄は静止した。
なぜならドアの前に静雄が会いたくなかった人物がいたからだ。

「やぁ、シズちゃん。話はぜーんぶ聞かせて貰ったよ」

「…だと思った」

「さぁ、行こうか」

どこへ、なんて聞かなくても分かりきった事だ。静雄は嫌がる素振りをせず、差し出された手をそっと握った。


♂♀


「ぅあ、っ…、んっ」

「へぇ、全部本音しか言えなくなる、ね…。シズちゃんにはピッタリじゃない?」

「っる、せー…ぁ、っい!」

ぐちゅぐちゅと性器を弄られ、静雄はぐっと唇を噛み締める。
静雄と臨也は普段は殺し合いのような事をしているが実際は恋人同士と言う事は一部の人間しか知らない事だ。
だからこういう行為をしていてもなんら不思議な事はないのだが、臨也は好きな人ほど苛めたい派なのか先程から静雄に意地悪い事ばかりしていた。

「ね、俺の事好き…?」

「っ…!ぅあっ、あ!っま、言うから…!」

「そうそう。折角本音しか言えないんだから、黙ってる、なんてダメだよ?」

「…、す、好き…すっげぇ、好き、だよ…」

「うん。俺もだーいすき」

そう言って臨也はまた静雄の性器を弄り始める。静雄は必死に快楽に耐えようとするが、身体は正直で素直に感じてしまう。
性器を弄っていた手が今度はその奥、秘部の方に移動し始める。
入口付近を軽く触られる。それだけでビクンと感じてしまう静雄の身体。
そこまで開発されてしまったのかと恥ずかしくなり顔が真っ赤になってしまう。

「で?こっちは?入れて欲しい?欲しくない?」

「っわ、分かってる、くせに…!」

「シズちゃんの口から聞きたいんだって。ね、嫌なの?」

「…い、嫌、じゃない…入れて、欲しい…」

「それから?」

「っ、お、俺の事…いっぱい、ぐちゃぐちゃにして、くれよ…っ」

「ん、素直なシズちゃんは可愛いね。あ、もちろんいつも可愛いけど」

そう言って着ていた服を脱ぎ始める臨也。見た目とは裏腹に多少筋肉が尽き男らしい身体に静雄はドキリとする。
いつもはそんなふうに思わないのに。これも全部薬のせいだ。静雄はそう思う事にした。
ゆっくりと臨也のが入ってくる感覚。この感覚だけはどうも未だに慣れない。

「ふ、ぁ、ぁああッ…!い、っー…」

「っは、ぁ…あはは、もしかしてシズちゃん、いつもより感じちゃってる?」

「なんっ…」

「だって、俺の事すっごい締め付けて離さないからさ」

臨也の言ったことが的を得ていて恥ずかしくなり違うと言いたかった。
しかし今は薬の効果で本音しか言えない。
止めようと思ったがそれはもう口から言葉として発していた。

「だ、って…臨也が、可愛いって、言った…から」

「それだけ?」

静雄は小さく頷いた。それに気分を良くした臨也は静雄の腰を掴み、グッと自身のペニスを静雄へ押し込んだ。

「ひぁ、ぅああ゛、いざ…っ!」

「もう!どうしてそういう可愛い事言うかなシズちゃんは!ますます好きになっちゃうじゃんか!」

「いざ、んぁ、あ!そ、そこ…気持ちいぃ、いぁあ!」

その日は一晩中二人は愛し合った。薬の効果も半日程度で切れるとの事で、目が覚めた頃には言葉の違和感は消えていた。

「ね、シズちゃん」

「わっ、…んだよ」

「俺の事好き?」

「嫌いだ」

「またまたぁ〜。俺は大好きだよ」

赫い細い目で見つめられる。ああ、この男にとことん自分は弱いな、と思う。
嫌い、だなんて言ってもすぐに嘘だと見破られる。

「嘘。好きに決まってんだろ」



(見てこれ、昨日のシズちゃんすっごいエロかったなぁ)
(うるせぇな…。忘れろ)
(嫌だね。絶対忘れてあげないから)
(殺す)
(またまたぁ。そんな事言っちゃって本当は…あれ、なんでベッド持ち上げて…)

―――――――
津津美様、リクエストありがとうございました!!
新羅の薬で本音しか言えなくなってしまう静雄で臨静とのリクでしたが…。
楽しく書かせて頂きました!!
私の書く話が好きという事でとても嬉しいです!!
完成が遅くなってしまい申し訳ありません><
リクエストありがとうございました!


『最果てを棄てに』様よりお題をお借りしました。







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