*芸能人パロ
*人気俳優臨也×マネージャー静雄
ok?↓
「ほんっと…シズちゃんってなんで仕事が出来ないかなぁ…それでも俺のマネージャーなの?」
「…悪い……」
「悪いと思ってるならもっとしっかりしてくれなきゃ困るよ」
とあるテレビ局の楽屋。その一室の出来事である。
黒髪の男は、正座をしてしゅんとしている金髪の男に向かって仁王立ちで見下ろしていた。
「他局とのスケジュールが重なってるって…はぁ、もうまいったな…どうしようか…」
「…ごめん…俺がちゃんと確認しなかったから…」
「本当だよ…。どっちの予定も俺より凄いベテランの人達が出る番組だしさぁ…まぁいつかは俺の方が凄くなるんだけど」
黒髪の男は折原臨也と言い、今や世間を騒がせるほどの人気俳優だ。
羽島幽平と並ぶほど演技が上手く、ドラマや映画、バラエティにも出るようになった。
それは全て臨也の実力であった。『眉目秀麗』という言葉があるが、この言葉はまさに臨也の事を言っているような言葉だ。
一方、金髪の男は臨也のマネージャーであった。名前は平和島静雄。
彼も整った顔立ちをしており、臨也よりも背が高く、スタイルの良い体系をしていた。
彼も一度は俳優の道へと進んだ事もあったが、自分自身の問題もあり、その道を断念してしまった。
そんな時出会ったのが臨也だった。まだ新人だった臨也は静雄を一目で気に入り、すぐさま臨也専属のマネージャーにしたのだ。
だが、静雄はマイペースな性格で、とても怒りやすく些細な事でキレて暴れてしまう。
これには臨也も手を焼いたが、今は大分大人しくなった方だと思う。
「あのさ…やっぱ俺がマネージャーとか、向いてねぇと思うんだよ…」
「………」
「俳優人生諦めてる時に臨也が俺の事拾ってくれたのは感謝してる。けど、これ以上臨也にいろいろ迷惑かけてお前の評価が下がったりしたら…」
「あのね、俺がシズちゃんに、俺のマネージャーになってって言ったの」
「…おう……」
「だから、俺がシズちゃんの事解雇する訳ないじゃん。多少シズちゃんがドジしたって、俺は別に痛くも痒くもないし」
これは彼なりのフォローのつもりなんだろうか。
少しだけ照れくさくなって、じっと臨也の顔を見た。臨也の顔も少し赤くなっていて、いつもの感じはどこへやら。
「いい?シズちゃんは俺のモノなの。分かってる?」
「モノって…」
「俺の所有物って事!」
「そりゃ分かるけど…俺はモノじゃない」
「だーかーらっ!!…シズちゃんは本当に鈍いんだから!気付かせるのに俺大変だよ!!」
「はぁ!?意味分かんねぇよ!」
「なんで逆ギレすんの!?ああ、もう!テーブル持ち上げないで!」
臨也は静雄の事が、色恋の方で好きなのだが、静雄は全くそれに気づいていない。
昔から少し鈍い所があったのは知っていたが、ここまでアピールしておいて気付かないなんて。
静雄も黙っていればモデルなどやっていてもおかしくはない。
芸能業界で多少なりとも静雄も人気があったりするのだが、この事についても静雄は気付いていない。
「俺は!シズちゃんが好きなの!片時も離れたくないわけ!手放したくないって思ってるんだよ!」
「俺だってお前の事好きだぞ!いつも仕事終わりにプリン買ってくれるし…」
「そうじゃなくて…!俺の好きは、シズちゃんとは違って恋愛的な意味の…」
「…あの、お取込み中申し訳ないんですけど、廊下にまで響いてますよ、お二人の夫婦喧嘩」
怒鳴り合いをしている臨也と静雄の間に割って入ってきたのは、これまた芸能界では一位、二位を争うほどの実力の持ち主、羽島幽平であった。
「ちょ…っ!?幽平くん…!?」
「か、幽…!?お前なんで…」
「兄さん、此処では幽平って呼んでくれなきゃダメだって」
「お、おお…そうだったな。忘れてた」
驚くなかれ。羽島幽平は、静雄の実の弟であった。
本名は平和島幽。彼は静雄の後を追うように芸能界に入り、瞬く間に人気者となった。
静雄が俳優人生を諦めてしまった事に関してはとても残念だと思ったらしいのだが、彼は静雄の性格が激しすぎる為。
反対に幽の方は無表情の時の方が多くなったのだ。
演技に関しては、臨也よりも幽の方が良い演技をする。
臨也はその事で幽をライバル視しているし、なにより静雄の弟という事がとても気に入らなかった。
「それに夫婦喧嘩って…俺と臨也は夫婦じゃないぞ。男同士だし」
「兄さんはいつまで経っても兄さんだね…本当、変わらないな」
「…で?幽平くん、何か用があったんじゃないの?」
臨也は苛々した様子で幽に話しかける。静雄は幽の笑った表情が分かるらしいのだが、臨也には全く分からない。
彼には喜怒哀楽があるんだろうか…。
「ああ…、兄さん、さっきプロデューサーの人から伝言を預かったんだけど、今後スケジュールがどうのこうのって言ってたけど」
「あっ…!あの話のか!悪い臨也、俺ちょっと番組プロデューサーの所行ってくるな!」
「え?う、うん…あ、またスケジュールが被るとか面倒な事にならないように気を付けてよね!」
「分かってるっての!」
駆け足でテレビ局の廊下を駆ける静雄の後ろ姿を見ながら、臨也はハァと溜息を吐いた。
「大変そうですね」
「君の兄貴の扱いは大変だよ…」
「大変なら、僕が変わりに貰い受けますけど」
「ソレ、冗談なら笑えないな。シズちゃんは俺のだから。誰にも渡さないよ」
「その台詞、そっくりそのままお返しします」
バチバチと火花が散る中、静雄は今後の臨也のスケジュールを考えながら廊下を駆けまわっていた。
(いつか俺が、臨也を世界の大スターにしてやるんだ…!)
途方もない夢を描きながら、彼は一人クスリと笑った。
貴方が隣に居ないと息が出来ないの
だから、どこにも行かないで、ずっと傍に居てよ
――――――
はじめまして!
匿名希望様、リクエストありがとうございました!
芸能人とマネージャーパロという事で幽も出してみました…。
いろいろゴチャゴチャしてますが…、
少しでも喜んで頂けたら幸いです^^
リクエスト、ありがとうございました!!