今日も池袋に響き渡る罵声とモノが壊れる破壊音。
それはいつもと変わらぬ光景。

「いぃーざぁーやぁーくぅーん…てめぇなんで今日もこの池袋に居るんだー…?」

「シズちゃんに逢いに」

ベキッ。
標識があらぬ方向へ降り曲がった。静雄の額に青筋が立つ。

「ふざけてんのか?あ"ァ?」

「ふざけてないって。至って大真面目だよ、俺は」

ニコリと笑った臨也目掛けて標識が飛ぶ。だがそれは空しく虚空を飛んだ。
ビキビキと、苛々が増す。何を大真面目に言っているのか、静雄には分からなかった。
人を愛している、などほざいているコイツが、俺に逢いに、だと?
静雄はただただ混乱するばかり。

「シズちゃんはさ、そのツンデレのツンの率が高いよね」

「はァ!?」

「もう少しデレの部分を出してもいいと思うんだよ」

こういうふうに。
目の前に居た臨也が消えたと思ったら、ビリッと服が切り裂かれる音がした。
衝動的に拳を振り上げて殴りかかろうとしたが、ひらりと避けられる。
臨也に服を切られた。弟から貰った大事な服を。ビキビキ、とまた苛々が増す。

「知ってる?男が服を贈る時っていうのは、脱がせたいからなんだって」

「な…ッ!?」

かぁぁ、と真っ赤になる静雄を見て、臨也は声を上げて笑いだす。
幽が、まさかそんな…。そんな表情だった。
それを見て少しだけ、臨也は悔しそうな表情を見せる。静雄はとても弟を大事にしている。
もちろんそれは兄弟としてだろうけど、きっとあの弟はそうは思っていないだろう。
自分と同じ想いのはず。それが少し許せなかった。

「ほんっとに、シズちゃんは弟君の事好きだよねぇ」

「べ、べつにそんなんじゃ…!つか、もう黙れノミ蟲野郎!!」

「あれ、今少しだけデレの部分出なかった?」

「う、うるせぇ!黙れ!死ね!!」

真っ赤になりながらその辺にあった販売機を持ち上げる静雄に、臨也は心底この状態を楽しんでいた。
あの平和島静雄が、真っ赤になりながら自分を追っかけてきている。
照れ隠しだろうけど、少しでも自分に注意が向くならそれだけで嬉しい。

(ほら、良く言うじゃん。好きな子ほど虐めたいって)

「殺す!何が何だろうが殺す!ぜってぇ殺す!!」

「はは、やってみなよ。そう簡単に俺は殺されないけどね」

こんな一方的な想いを持ち続けて良いものなのだろうか。いいや、駄目だ。
いつか絶対自分のモノにしてみせる。心も、身体も。

「覚悟しなよシズちゃん」

「あぁ!?よくわかんねぇが、上等だコラ!やれるもんならやって見やがれ!殴り殺してやるからな!!」

(愉しみだなぁ。俺に忠実なシズちゃん…。ああもう、考えるだけでたまんないなぁ!)



(まずはやっぱり首輪とか付けて…、あ、防音対策が付いたシズちゃんに簡単に壊されない壁が欲しいな…)
(何をやってるの、臨也)
(ああ、波江。ちょっとシズちゃんをどうやって飼いならすか考えててさ。波江はどんなのがいいと思う?)
(……私に聞かないでちょうだい)

―――――
臨→←静な話が書きたい。なんだかいつも臨也が一方的なんだけど…。
変態臨也→天然静雄でもいいと思うんだよ…。
ていうか、それしかない気がするなこのサイト…。

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