*ファンブックの『ヒーローがもし家族だったら』のパロ
*長男兎×父親虎


ok?↓





どこにでもいるような家族。ちょっと家族構成が可笑しいような気がするが、仲の良い家族だ。
だけど、いつからか、少しずつ少しずつ一人の人生の歯車がずれ始めた。
気付いた時はもう元には戻せないほど狂ってしまったのだ。

「あ、バニー!皿持ってきてー」

「…自分で取れるでしょうに…」

「今炒飯作ってて手が離せないんだって!」

「まったく…」

長男であるバーナビーは読んでいた雑誌を閉じて声のした方へ向かう。
声のした方はキッチン。そこには深い緑色のエプロンをした細身の男性。
バーナビーの父親だった。得意の炒飯を作っているのかノリノリで鼻歌まで歌っている。

「ほら、持って来ましたよ」

「お、ありがとなー!今日は家に居るの俺とお前だけだし…いつもより美味しい炒飯作ってやるぞー!」

「…また炒飯なんですか…」

今日から三日間。父親である虎徹と長男のバーナビー以外は皆旅行に行っていて家には居ない。
二人もくればいいと言われたが虎徹は断固として行くことを拒んだ。
家を空けるのは少し不安があるし、仕事もある。それを理由に断ったのだが。
バーナビーは虎徹一人では心配だという事で彼も残った。
だがこれは、バーナビーにとっては酷な選択だったのかもしれない。
彼が虎徹に熱い視線を送っているのを虎徹は知らない。
最初はギクシャクしていた父と子。だけれどいつの間にか仲の良い親子になった。
虎徹はいつも通りなのだが、バーナビーの性格がすっかり変わってしまったと家族は言う。
冷たくツンケンしていた性格が、いつの間にやら優しい好青年に変わっていたのだ。
バーナビーは虎徹のおかげだと言う。虎徹自身は何もしていないと言うのだが、バーナビーにとっては虎徹は父親以上の存在になった。

そのあたりからだったと思う。バーナビーの虎徹に対しての気持ちが変わったのは。
恋を知らないバーナビーにとって、胸に燻る熱い想いがなんなのか分からないでいた。
今だって一人楽しそうに笑う虎徹の表情に、自身も嬉しくなって笑顔になる。
それと同時に抱き締めたくなるという想いが湧きあがる。これが、恋で、愛なんだろうか。
だけれど、ここで抱きついてしまうときっと虎徹は混乱してしまう。その後の関係も悪くなってしまうかもしれない。
それが不安でバーナビーは歯がゆい思いをしていた。

そして問題は、その日の夜に起きた。
夕飯は豪勢に、という事で虎徹が自慢の手料理を披露した。
暇があれば作る得意料理の炒飯に、虎徹の出身である地方の郷土料理をバーナビーと二人で作った。
他愛ない会話をして、あとは寝るだけだ、という時に。
バーナビーは一人自室で考えてしまった。
今は自分と父親の虎徹しかいない。他は誰もいない。二人っきりなのだ。
こんなチャンスがあるだろうか。気付いたらバーナビーは虎徹が寝る寝室へと足を運んでいた。
扉を開けて部屋に入る。少し驚いた表情をした虎徹だったが、すぐに笑顔に変わり、どうしたんだと問いかける。
だが問いかけに答える訳でもなく、バーナビーは虎徹をベッドへ押し倒した。

「…バニー?」

「…ごめん、なさい…」

最初に出てきた言葉は謝罪だった。何に対して謝っているのか分からない。
こんな不甲斐無い長男でごめんなさい、父親に対して恋愛感情を持ってしまってごめんなさい。
愛してしまって、ごめんなさい。でも溢れて止まらない想いがバーナビーを突き動かす。

「ごめん、…ごめんなさい、父さん…本当は、こんな事…」

虎徹はバーナビーを突き放す訳でもなく、ただじっとバーナビーの言葉を待つ。
バーナビーは虎徹の手に自分の手を重ね、逃げないようにと指を絡める。

「――…僕、父さんが…好きなんだ…―」

言った。言ってしまった。心臓がドクドクと激しく脈打つ。
頭の中が真っ白になる。喉が渇いて空気が擦れる音がする。

「…父さんが…、その、…母さんとそういう事をするのも知ってる。だけど、僕は…!」

「バニー…」

たまたま見てしまった母と父の情事。父が受け側になっていたのには少々疑問を感じたが、今はそうは思わない。
この人は受ける側なのだ。家族の関係においてもそう。
人を好きになるなんて初めてで、どうしたらいいのか分からない。
自然と虎徹の唇に自身の唇を重ねていた。キスをするのだって初めてだ。
かさつく唇を舌で舐め、そのまま彼の舌も絡め捕る。
抵抗はせず、むしろ虎徹はバーナビーの行為に応え自らも舌を絡め出した。

「んっ、ふ…ぁ、ふ」

「ん、む…んぅ、」

長い間キスを交わしていたと思う。ねっとりとした液が二人の口元を伝う。
完全に雄の瞳をしたバーナビーに、虎徹はゾクリと快感を感じる。
息子にこんなにも欲情するなんてあってはならない事だけれど、こればかりはどうしようもない。
果たして、一夜限りの過ちで許されるのだろうか。

「とぉ、さ…」

「…ちゃんと、優しくしてくれよな…?」

「はい…っ」

それからの事は、バーナビーにとっては許されない罪を犯した罪悪感でいっぱいだった。
浅黒い肌を撫でて、突起を弄ったり、初めてみる父の性器に戸惑ったり、聞き慣れない父の声に興奮したり。
胸いっぱいの嬉しさと、苦しさを感じた。
虎徹はいつも通りにバーナビーに接するが、バーナビーはそうはいかなかった。
彼は何を思っていたのだろう。どうして抱かれたんだろう。
息子が困っていたから?自分もそういう気分だったから?
聞きたいけれど、聞けない。怖くて、聞けない。
怒るなら怒ってくれていい、罵倒してくれてもいい。家を追い出すような事をしてもいいのに。
優しくいつものように接してくる父親が、怖い。

夜が明けて、朝日が昇る。家族が返ってくるのは明日だ。
それまでどうしよう。バーナビーは何事もなかったかのように朝食を作っている父の背中を見ながら小さく溜息を吐いた。



僕は、父親を愛してしまうという許されない罪を犯してしまいました。

――――――
ファンブックの家族構成のパロを…書いてみたくなったので…。
長男兎×父親虎とか…近親相姦…好きです…。
母親空×父親虎でも全然…美味しいです…モグッ
しかしあんまり長男×父親な感じが出せなかった…(・ω・`)

近親相姦って響きが物凄い好き、です…!




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