*アニくじの悪魔臨也×聖職者静雄
ok?↓
この季節になると必ずやってくるやつがいる。静雄は黒く染まる空を見上げていた。
牧師には似合わぬ大きな十字架を持ち、大きな棺桶を台にして、ただじっと空を見上げる。
毎年この時期になると静雄の天敵とも言うべき悪魔が現れる。
その悪魔は人間が好きなようでいつも悪戯や人を玩んだりしているのだが。
静雄はその悪魔を退治しようと常に戦闘態勢で悪魔が来るのを待ち構えていた。
静雄も静雄で、普通の人間ではありえないほどの怪力の持ち主であった。
大きな十字架を片手で持ち上げ振り回す事など容易い。
ピリッ…と空気が変わる。ドロドロとした雰囲気が漂う。
「やぁ、シズちゃん。こんばんわ」
「…ようやく現れやがったな…臨也くんよぉ…」
嫌そうに、しかし嬉しそうに静雄は笑う。臨也と呼ばれた漆黒の悪魔。
大きな黒い羽を持ち、黒い衣装。人間でないのはすぐに分かる。
「毎年毎年、良く飽きもしないで俺の事待ってるよねぇ…俺の事好きなの?」
「んな訳ねぇだろうが!!テメェが街のやつらに迷惑掛けるから俺が退治しねぇといけねぇんだよ」
「俺は人間が好きなの。愛してるんだ。まぁ…君は論外だけど」
「お前に好きになってもらっても嬉しくねぇよ!」
静雄は持っていた大きな十字架を振り回し、臨也に攻撃を仕掛ける。
だが臨也は軽々とそれを避けると宙へ浮かびケラケラと笑う。
「ホーント、シズちゃんって毎年攻撃の仕方がワンパターンすぎるよ。そんなんじゃ俺は退治出来ないよ?」
「っるせぇ!てめぇが避けるからだろ!」
「避けなきゃ死んじゃうもん」
寂れた教会に常に独りでいる静雄にとって、突然現れた臨也は、なんだが気軽に話せる友達のよう。
だけれど臨也は悪魔。退治してしまえばまた自分は独り。
それが少し淋しく感じて、いつも手加減をしてしまう。こんな力を持ったせいで独りにはなったけど、話し相手が出来た。
毎年毎年、この時期が静雄にとっては楽しみであった。
静雄に話しかけてくる人間は多少なりともいる。弟や牧師になる事を進めてくれた友人。
だけど、こんなにも歳の近い話し相手が出来たのは初めてかもしれない。
この力を怖がりもせずにまるでじゃれ合うように楽しむように臨也は笑う。
臨也も人を殺せる程度の力は持っている。
臨也は上級の悪魔であるから朝日には少々弱いものの、十字架や牧師に触った程度では浄化しない。
だからこそ、静雄に怪我をさせながらも臨也自身も静雄との戦いを楽しんでいた。
臨也も臨也で自分にこんなにも執着し、対等な人間は初めてで興味を持っていた。
人間をからかえば彼が怒り狂って自分に向かってくる。それが楽しくて臨也は静雄に構っていた。
「っこ…のッ!!」
「わっ、と…!あっぶないなぁ。ああ、ほら…そこの墓標倒しちゃったよ?いいの?」
「いいんだよ!後で治すからな!」
「うーん、牧師にあるまじき言動だよね…本当に、君は面白いよ。大嫌いだけどね」
「俺もお前なんか大嫌いだ!さっさと死ね!!」
町はずれの教会で激しい爆発音のような音が響く。この時期になると日常茶飯事になるので住民は気にしていない。
寧ろお祭り騒ぎのような感覚だ。
決まった時期でしか会えないが、静雄はそれでもよかった。
「臨也ァ!テメェ俺以外のヤツに負けるんじゃねぇぞ!お前は俺が殺すんだからなァ!!」
「あはは、熱烈な告白をありがとう!俺がその辺の聖職者に負ける訳ないじゃん?ま、シズちゃんにも負けないけど」
「告白じゃねぇ!!あと、前々から思ってたんだが、シズちゃんって言うの止めろ!!」
「どうして?可愛いじゃない。俺は気に入ってるんだけど」
「俺が嫌なんだ!!」
「女の子みたいで?恥ずかしいの?あははは、かーわいいねぇ!」
「このッ…!」
楽しそうな笑い声と鬼のような怒り声。今年も二人は仲良しである。
悪魔と牧師。互いに自分の想いには気付いていないようだが、想いあっているのは確かだ。
来年も、また会いに来てくれるよね。
ジャック・オ・ランタンは怪しく笑う
今年二人にとって楽しいハロウィンであれ!
――――――
アニくじから妄想した話。
臨也の厨二病が酷過ぎて…悪化してないか?悪魔っておま…似合いすぎ。
静雄は牧師さん…棺桶踏んでますよそれ大事なものですよね…?
しかし楽しかった…^^