放課後。夕日が差し込む教室に臨也は一人自分の椅子に座り携帯を弄っていた。
面白そうな情報はそう簡単には転がっていない。
小さく溜息を吐いた。そんな時、窓から見えた金髪。
不機嫌そうにしている顔が見えた。そういえば今日もからかってやったんだっけ、と臨也はクスっと笑う。
独りが寂しいくせに、近くにいると傷付けてしまうからと皆から離れ独りを選ぶ彼。
バケモノなのに人間になろうとしている彼が可笑しくて。
またからかってやろうと教室を軽い足取りで出た。



「シーズちゃー……」

あれ、と臨也は立ち止まる。
校門の手前で静雄が誰かと話をしている。どうやらそれは他校の女子生徒のよう。
傍から見ればそれは告白されているようにも見える。
静雄も少し困っている様子だ。
だけど、何故だろう。
静雄が取られるような気がした。自分から離れていってしまうのではないか。
そんな不安が溢れだす。

(…馬鹿馬鹿しい。シズちゃんは俺のモノじゃないだろ。俺のモノじゃ…)

だけど、いつも遊んでいた遊具が無くなってしまうのは嫌だ。
ズカズカと早足で二人の方へ向かう。
静雄も臨也に気付いたのか険しい顔になる。

「おい臨也、お前なんの用…――」

「駄目だよ、君。シズちゃんは俺のだから。告白なんてしても無駄なの」

女の子は涙を浮かべながら弱弱しい声で静雄にお礼を言うと足早にその場を去っていった。
静雄はというと射殺せそうな瞳で臨也を睨み付ける。

「臨也!お前…!!」

「……なんでだろう」

「…は…?」

「なんで俺、あんな焦ったのかな……」

「…??」

静雄が自分から離れてしまうと思った。怖かった。
いつもバケモノだと罵倒しているけど、静雄だって人だ。
心だってある。

(…きっと俺は、シズちゃんに相手にされなくなることが嫌だったんだ)

静雄にもし好きな女の子が出来たとして。
きっと今までみたいに遊びのような戦争のような喧嘩は出来なくなる。
それが嫌だったんだ。

「臨也、お前…なんか勘違いしてねぇか?」

「へ?」

「あの子、告白じゃなくて俺に道聞いただけだぞ」

え、と臨也は言葉を無くす。もしかして自分は物凄く恥ずかしい処を見られてしまったのではないだろうか。
だとすると、なんて事を口走ってしまったんだろう。
急に恥ずかしくなって顔を真っ赤にする臨也。慌てて言い訳を言っても、静雄はニヤリと笑うだけ。

「ちっ違う!あの、そういうんじゃなくて!えっと…そ、そう!シズちゃんはバケモノだからって意味で…!」

「必死に言い訳言ってるのバレバレだぞ臨也」

「言い訳じゃない!だから、その…えっと…」

「はは、臨也でも慌てる事あるんだなぁ、あはははッ!」

「わっ、笑うな!くっそ、シズちゃんのくせに、シズちゃんのくせに!!バカバカ!死んじゃえよ!」

「ならまずてめぇが死ね!!」

またいつも通りの喧嘩の風景に変わる。
でもなんだか一安心。この関係が崩れる事が怖かったから。

「…ま、これからも喧嘩しよーね、シーズちゃん!」

「はァ?急になんなんだよ!」

「仲良くしよーねってこーと!!」

「誰がてめぇなんかと仲良くするかっ!!」

monopolistic desires

これからも誰の物にもならないで、ずっとずっと俺のモノでいてよ。

――――――
くーろん様、リクエストありがとうございました!!

余裕がない可愛い臨也を書けたか不安ですが、…いつも臨也とはまた違った一面がみれたらなと思って書きました!
遅くなって申し訳ありません><
少しでも喜んでいただけたらなと思います!

リクエストありがとうございました!!



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