しくしくと泣けば、どうしたんだ?と心配してくれる。
大丈夫か、と頭を撫でて慰めてくれる。それがたまらなく嬉しくて何度も何度も引き留めた。
記憶を操作されてから時々頭の中がぐちゃぐちゃになりそれが癇癪となって出る事がある。
だから優しい虎徹さんは僕の傍に居てくれる。
ヒーローを辞めてしまえば虎徹さんとの関わりが無くなってしまう。
それが嫌でなんとか傍にいてもらいたくて。
僕は、優しい虎徹さんに甘えていた。

「っあ…んっ」

もっともっと近づきたくて、繋がりたくて。僕は彼を抱く。
優しい優しい虎徹さんはニコリと笑って僕のすることを許してくれる。

「虎徹さん、虎徹さん…」

「あ、ばに、…ばにぃ…っんぁ、あ」

でも虎徹さんはもうシュテルンビルドを発たなければならない。
それは家族の為であって、自分の為でもある。
虎徹さんが居なくなったら僕はどうしたらいいんだろう。
僕は、独りになってしまう。

「ぅあ、あっ…あっ、あ…ゃ、そこぉっ、んんッ…だめっ…」

「だめ?どうして?虎徹さん、気持ち良くないんですか?」

「や…気持ちいい、けど…っ…ううっバニーの意地悪…」

「意地悪してるつもりはないんですけど…」

「っ…も、いいからぁ…俺ん中…ばにぃので、いっぱいに…して?」

ぐちゅ、ぐちゅと音を立てて僕達は繋がる。
僕も虎徹さんとは離れたくないけど、虎徹さんもそうだといい。
遠距離恋愛なんて、寂しくて死んでしまいそう。
兎は寂しいと死んでしまうんですよ。ねぇ、ずっと僕の傍にいてください。

「っふ、あ!ぁ、あっあ!バニっ、ばにぃ…!」

「はぁ、…ん…虎徹さ、…!」

「んぁあッ、あっ――…もっい、イクっ、い…!」

「あっ、僕も…」

「ぁっあああッ―――……ッ!!」

神様に一つだけ願うとしたら、僕は彼と共に居ることを望むだろう。
離れたくない。永久にずっとずっと傍に。
僕のこの世で最も愛おしい人。


目が覚めると隣には愛おしい可愛い相棒がいた。
綺麗なブロンドの髪。白い肌。何もかもが完璧な男が、どうして俺なんかを選んだのか未だに不思議だ。
さらさらでふわふわな髪を彼を起こさないように撫でる。
ああ、でもやっぱり愛おしい。可愛い可愛い俺の兎ちゃん。
俺も出来る事ならずっと傍に居たいよ。
でもやっぱりいつかは離れなくちゃいけないんだ、バニーちゃん。

「…俺だって、本当は一緒に居たいんだよ…」

けど、きっとお前は目が覚める。どうして俺を選んだんだろうって。
そうした時、辛いのはきっと俺だ。お前にのめり込んで離れられなくなっているのは俺の方。
いい年したオッサンが若い男に縋ってるのって気持ち悪いだろ?
バニーはそれをまだ分かってない。
お前はまだ本当の幸せを知らない。それを知ったらお前は俺から離れるだろう?
だから、先に俺から離れるんだよ。苦しまなくていいように。
結局俺は自分の事しか考えてないんだと思う。

「…酷い大人でごめんな、バーナビー」

眠る彼の唇に、そっと自分の唇を重ねた。



苦しくないお別れを私に教えて下さい

――――――
25話後の悶々とした二人。





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