いつだって互いに想い合っていたんだと思う。
それを俺達が気付こうとはしなかっただけ。
好きな時に呼び出して、好きなように抱く。いわゆる俺達はセフレのような関係だった。
それがいつからそういう関係になったのか、なんてもう覚えていない。
気付いたらそうなっていた。最初は俺が相手の弱みを握って良い様にしていたけど。
暫くするうちにどうでも良くなった。
ただ抱ければいい。気持ち良くなれば、それだけでいい。

「っふ……ぁッ」

目の前の綺麗な肌。滲む汗がいやらしい。
彼は、敵意を持って俺を睨み付ける。こんな事をする俺が憎いからだ。
知っているさ、そんな事ぐらい。だけど、その瞳が愛情を持って俺を見てくれたら、と思う。
思うだけだ。絶対にそんな事はあり得ない。

「…気持ちいい?」

「…っ…聞くんじゃ、ねぇよ…ッ…ん!」

「ああ、気持ちいいんだね。良かった。シズちゃんってば素直じゃないから」

「っ……!」

彼の気持ちが知りたい。何をどう思っているんだろう。
なんで黙って嫌がりもせずに俺に抱かれるのか。

「ひっ、んっぅ…あっあっ…いッ」

気持ちよさそうに喘ぐ姿はとても素敵だ。いつまでも見ていたいと思う。
笑った顔も怒った顔も寝ている姿も。
情事が終わればどちらともなく部屋を出る。いつもはラブホテルで待ち合わせをする。
そしてそのままシャワーを浴びて黙ってセックスをする訳なんだが。
俺はいつも気絶しているシズちゃんを見て、罪悪感を感じながらも黙って部屋を出る。

でも、今日は違った。セックスをし終わった後、俺は疲れていたのかあろうことかそのまま眠ってしまったのだ。
ふと目が覚めた時、シズちゃんはまだその部屋にいた。
優しい手つきで俺の頭を撫でながら独り言を呟いていた。

「…お前、いっつもすぐ帰っちまうから…ちょっと寂しかったんだぜ、俺」

「臨也の寝顔…随分可愛いんだな」

きっと俺が起きている事に気付いていないからか、独り言も大きくなる。
高校時代の思い出を語ったり、嫌味を言ったり。
でも、俺の頭を撫でる手は、凄く…凄く優しかった。
シズちゃんは、本当は凄く優しい。キレやすいだけで、本当は誰よりも優しい性格をしているんだ。
俺はそれを利用して昔はいろいろしてたんだけど。

「……き、だ…」

小さく囁かれた言葉。よく聞き取れなかった。
シズちゃんは声を震わせ、また小さく囁いた。

「…好き、だ…臨也…」

きっと目尻に涙を溜めているに違いない。

「…臨也が俺の事…なんとも思ってないのは…知ってるけど、…アイツが起きてる時にこんな事言えねぇし…」

はぁあ、とシズちゃんは大きく溜息を吐いて、ぼふんっとベッドに倒れ込んだ。

「すき、好き……愛して、る……」

その瞬間、俺は勢いよく起き上がった。シズちゃんも俺がまさか起きていると思ってなかったのか、ビクリと身体を震わせ驚いた。
半ばキョトンとした顔で俺を見るシズちゃん。
状況が読み込めないんだろう。落ち着いてくるとシズちゃんは顔を真っ青にして震えだした。

「えっ、いざ…お前っ起きて…!?ま、さか…さっきの聞いて…ッ!?」

「ばっちり、聞こえてたよ。…シズちゃんって、俺の事、…好きなんだ?」

「ッ…!!」

シズちゃんはカタカタと身体を震わせて怯えだした。
不安で仕方がないんだろう。でも安心して、俺はもう君をそんなふうにはさせないから。

「…俺も、だよ」

「…え……?」

「俺もシズちゃんの事、好き。愛してる。……まぁぶっちゃけ、さっき自分の想いに漸く気付いたんだけどね」

どうやら俺達は気付かない間に想い合っていたようだ。
俺達がそれを気付こうとしなかっただけで。本当はずっと好きだったんだね。
これだから人間って面白いよね。

「シズちゃん、随分改まって言うのもなんだけど…俺と付き合ってください」

「……よ、よろしくお願い…します…?」

「ふふ、なんで疑問形なのさ。…じゃあ、これからよろしくね、シズちゃん」



想いはずっと一緒だったんだね

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うたね様、リクエストありがとうございました!
臨静はセフレから恋への発展あり得そうで怖い…。
実は互いに好き合ってそうなイメージがありますからね…。

遅くなってすみません><
リクエストありがとうございました!!




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