最悪だ。臨也は思う。
久々の高校の同窓会。同じクラスの連中は臨也にとっては大好きで愛している人間でしかなく、仲間だの友人などと思った事は一度として無い。
友人としては違うクラスに居た首の無い女を愛している、岸谷新羅と、
ダラーズの副将などと騒がれている門田京平。それに、天敵であり永遠のライバルであり殺したい男、平和島静雄。

臨也がこの来神高校の同窓会に参加したのは、暇つぶしでもあり、好きな人が参加する情報を得て来たのも事実である。
臨也は自分の好きな人が酔っぱらって他人に絡んでいる様子を苛々とただ黙って眺めていた。
どうする事も出来ない。だって自分は嫌われていて。しかも相手は同性、男だ。
そして問題なのが。臨也の好きな相手、それが池袋最強、天敵であり永遠のライバルであり、最も殺したい相手の、平和島静雄なのだという事。
静雄は始めは臨也の事をまるで眼中に無いかのように振る舞い、騒ぎを起こさず、目の前に出されたお酒をジュースと勘違いし飲み続けた結果がコレだ。

「かどたぁ…こえ、もうねぇのかよぉ…」

「静雄、飲み過ぎだお前。顔真っ赤じゃねぇか。水飲んで酔いを覚ませ」

「おれはぁ、よって…ねぇ、って…」

「酔ってるだろうが…ほら、水だ、飲め」

「ぅ、ん…」

苛々。臨也はまるで射殺せるような視線を二人に送る。
世話焼きの門田にとって静雄は今手間のかかる子供のように思えているのだろう。
静雄も静雄で門田や新羅には心を開いているようで、ぐったりと己の身体を門田に預けている。

(ドタチン羨ましい…!俺だってシズちゃんに寄りかかってもらいたいよ!)

ギリリ、と思わず歯ぎしりをしてしまう。隣に座っていた女子も何事かと身体をビクつかせる。
静雄は酔っているのか、門田の隣にいた男子の持っていたグラスを奪い取りそのままグビッと残っていた酒を喉の奥へ流し込んだ。

(今の!関節キスじゃないの!?ぐぅう、そこの名もない男、お前だけは絶対に許さない)

勝手に嫉妬心で門田の隣に座る男を己のブラックリストに書き込んだ。
シズちゃんに関節キスをさせたお前だけは絶対許さない。俺だってしてもらった事ないのに。

「か、門田さん…その、平和島の事…怖くないんですか?」

「怖い?そうだなぁ…お前らはコイツの暴れてる処しか知らねぇからな…静雄のやつ案外甘えん坊だし甘い物好きだし、弟の事大好きなんだぜコイツ」

そんなの承知済みに決まっている。臨也は自慢げにフフンと笑うが誰も気付かない。

「…なんらお前…おえのこと…きらい、なのか…?」

「えっ!?」

ウルウルとした瞳で見つめられる男。それはまるで高校時代よく眺めていたあの恐ろしい平和島静雄では無かった。
なんだこの色気は。誘われているような感覚に陥る。

「えっあの…き、嫌いじゃないです!はい!」

「…うそだ」

「嘘じゃないです!本当ですって!」

このままキレられて暴れられても困る、と男は思ったが。静雄はどうやらそれで機嫌を良くしたのか。
そうか、とやんわりニコリと笑ってまた新たに酒を飲み始めた。
心臓がドキドキする。なんだろうこの感覚。平和島静雄が可愛く見えるなんて、どうかしてしまったんだ。
男は熱くて赤くなる顔を必死に手で覆い隠しワナワナと震えていた。
一方臨也はというと、怒りで我を忘れそうになっていた。
なんだ今のは。恋の始まりか、青春か。そんなの許さない。駄目、絶対!!
だがしかし静雄の傍に行こうとしても門田がそれを邪魔をしてくる。
理由はお前が近付くと静雄が暴れ出すから、だそうだ。
そんなの今の静雄には関係ない。ベロベロに酔っているし、周りの事もなんだか良く分かっていないようだ。
酔いが回って眠くなってきたのかうつらうつらしている。
これはチャンスだ。静雄に膝枕をして介抱してやる絶好の機会。これを逃したらまたいつもの関係に戻ってしまう!
これを機に臨也は静雄を自分との恋に陥れる罠を仕掛けていこうと模索中であった。

(俺、絶対めげないからね、シズちゃん…!)

チャンスは門田がトイレに行った時!臨也はそう決意し一気にコップに入っていた酒を飲んだ。



(…目が覚めたら新羅の家ってどういう事なの…)
(君を起こしても起こしても起きなかったからさぁ…折原君の家の鍵、僕知らないし…仕方ないからセルティを呼んで運んでもらってって…聞いてる?)
(…俺の、俺の…これからのシズちゃんのとラブラブメモリーが始めるはずだったのに…!)
(因みに酔って寝た静雄は門田君が運んで行ったよ)
(!?!?!?!?)

――――――
青色様、リクエストありがとうございました!
名も無きモブが出しゃばりましたが…大丈夫だったでしょうか?
ほんのりギャグ要素が入り込んでしまって…お気に召さなかったらすみません><


こんなお話で良ければ貰ってやってください!
リクエストありがとうございました!!



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