*情報屋×売り専静雄
*二人は初対面
*パロ



ok?↓






情報屋というのも、楽なモノではない。他人から仕入れる情報もあれば、自分で足を運んで得る情報だってある。
裏社会とは案外大変なものだ。
新宿から池袋へ向かう電車の中、臨也はふと外を見る。
滅多に利用する事がない電車。自身が愛している人間が一つの場所にこうして集まる光景は、なんとも言えない愛が生まれる。
今日は池袋で情報収集をする。初めて会う人物故、多少は緊張しているのかもしれない。

(…めんどうな人じゃないといいんだけれど)

すぐ怒るとか、感が鋭いとか。人によって対応を変えなければならない。
池袋に着いて、そのまま目的地へと向かう。女だろうか、男だろうか。
どちらにせよ、臨也にはあまり関係の無い事だった。女であれば身体の関係を持って情報を引き出せるかもしれないし。
男であれば男の対応をしなければならない。
自分も華奢な体付きをしているとは思うが、もし男に抱かれるとなると気が重くなる。
指定されたホテルに着き、約束した部屋番号の扉を開ける。
そこに居たのは臨也が想像もしていないような。

「……あ、オリハライザヤさん?…悪い、すぐ終わらせる」

金髪の男が、見知らぬ男と交わっていた。なら扉に鍵でも掛けとけよ、と心の中で毒を吐く。
それから金髪の男は自分の上にのしかかって居た男を無理矢理帰すとシャワーを浴びてくると言ってシャワー室に籠ってしまった。

(…厄介な相手、かもね…)

同い年ぐらいに見えた。背も臨也より頭一つ分ほど高くて、スタイルも良かった。
身体つきも自分よりはがっしりしていたように見える。
でも油断してはいけない。彼がどういう人物なのか自分はまだ知らない。
ここから探りを入れて弱みの一つでも握れたらいいのだけれど。
ベッドはグシャグシャ。引き出しの中には紙切れだけ。
小さな冷蔵庫の中にはペットボトルの水だけ。

「…何もないじゃないか」

つまらない。実につまらない。面白くない。
あんな覇気のない瞳。本当に人間なのか疑いたくなるくらい、生きている感じがしなかった。

「待たせたな」

後ろから声がした。振り返ればシャツと下着だけを身に着けた彼がいた。

「オリハライザヤさん、だよな?…あんたは何が聞きたいんだ?」

「…まずは名乗るが最初じゃないの?」

「ああ…俺、静雄。よろしく」

ドカリとベッドに腰掛ける静雄。冷蔵庫からペットボトルの水を取り出すとそれを一気に喉の奥へと流し込む。

「…さっきの男は誰?」

「俺に金をくれる男」

「どうしてここを選んだの?」

「家から近かったし、あの男もココで良いって言うから」

「アンタ、歳はいくつ?俺と同じぐらいに見えるけど」

「プライベートな事は金取るぞ。そっちこそ、俺に何が聞きたいんだ?内容によっちゃ、その報酬も大きくなるぜ?」

どうでも良い事はスラスラと答えるのに、プライベートの事となると口を閉ざす。
なぜだろう。とても気になった。自分の知らない事を、彼は知っている。
何故だがそれがとても気に食わなくて。何を考え、何を思っているのか。

「じゃあ、君の事を教えてよ」

「それ相応の報酬を貰うけどいいのか?」

「金ならたくさんあるし、使い道もこういう事にしか使わないから平気」

「……へぇ…」

ニヤリ、と静雄は笑う。そのまま臨也の手を引いてベッドに連れ込む。

「オリハラさんは男は抱ける派?抱けない派?」

「臨也でいいよ。…まぁ、出来れば同性は抱きたくないけど、静雄くんなら抱けそうな気がするよ」

「へぇ…じゃあ、俺の事、すっげぇ気持ち良くしてくれたら、いろいろ教えてやる」

「さっきの男よりは気持ちよくさせてあげられるんじゃないかな」

「出来るのか?まぁ、さっきのヤツは下手だったからな、期待してるぜ、臨也くんよぉ」

その日から、臨也と静雄の奇妙な関係が始まった。
始めはただの好奇心からだった。知りたい、もっと深くまで。

「今日は俺が臨也の、っ挿入る、から…ぁ、んうぅ、ぐ、ン!」

「無理しないで、もっとゆっくり…」

「早く気持ち良くなりたいんだよっ…」

一日で終わるはずだった関係は今もまだ続いている。
それは恋と似ていて、でも愛とはまた違うものだった。

「っあ…、はは、臨也の、デカっ…んぅ」

「これくらいじゃ、シズちゃんは満足出来ないんじゃないの?」

「ん…ぁ、もっと、もっと奥までくれよ…いっぱいっ突いて…っ」

シズちゃん、と呼ぶようになったのは、出会って三回目だった気がする。
もっと仲良くなりたくて可愛くあだ名で呼んでみたら、最初こそ静雄は嫌がったものの、
次第に気にしなくなり、静雄も今や気にも留めていない。

「っ…んぁ、あ…いじわる、すんな…ん、ぁ、あ…」

「じゃあ、シズちゃんの事、もっと教えて…?そうしたら、たくさんイかせてあげる」

「…ふっ…いざやは、意地悪なんだなぁ…そうだな…、俺はプリンが好き、ぅんァああっ!」

「可愛いね」

何度もこういうやり取りとした。教えて、教えてあげる。何が知りたい、何を聞きたい。
きっとこんな事を他の男ともしたんだろうな、と考えるとなんだが怒りが湧いてくる。
何故だろう。可笑しな気持ちだ。

「は、ぁ…あ、今度は、俺。……あのさ、臨也はどうして俺に関わるんだ?」

「………」

「俺に関わっても良い事なんて一つもない。俺は金を貰う為に身体を売ってる。情報はそのついでだ。臨也も、他の男と同じで俺の身体が目的なのか?」

「違う、それは絶対に違う!俺は…」

どうしたいんだろう。身体が目的なのではない。静雄に会いたくて、話をしたくて、一緒に居たくてこうしているだけだ。
情報なんて、他のやり方で集めてしまえばいい。なのに、自分はどうしてしまったのだろう。

「……これから喋る事は、独り言だ」

「………?」

「俺は、普通じゃない力を持っていて。それを抑える薬をこうやって身体を売って金を稼いでいる。その時にベラベラ喋る男達から沢山の情報を得ているんだ」

ボソリボソリと喋る静雄はなんだか寂しそうで。痛む金色の髪をそっと撫でる。

「だけど、ある時変な真っ黒い恰好をした男が俺から情報を買いたいと申し出てきた。コイツも他のヤツと同じなんだろうな、と思った」

それはきっと自分の事なのだろうと臨也は思う。

「俺と年齢も近そうだし、俺、友達とか居なかったから仲良くできたらいいなって……でも、やっぱり少し怖かった」

「怖い?」

「昔、俺の中にあるバケモノみたいな力で友人を傷つけてしまった事があってな。それ以来、薬を飲んで力を抑えないと他人に触れなくなった」

「………」

「だから、いつかは臨也も俺から離れるんだなって思ったら…今は楽しいし、気持ちいいけど、ちょっと辛いなって思ってよ」

「シズちゃん…」

悲しく笑う静雄に臨也はなんと声を掛けてやればいいのか分からなかった。
大丈夫?元気を出して?思い浮かぶ言葉が全て静雄を傷付けてしまいそうな気がして。
だけど、なんだが自分の中にあるこの想いの形がはっきりとしてきた。

「俺は、大丈夫だよ。シズちゃん、俺の事務所にくればいい。もし間違って何か壊しても、俺は全然構わないし」

「でも…今は薬飲んで抑えてるけど、普段はすっげぇ短気だし…」

「口より手が先に出るってやつ?大丈夫、俺は口が先に出るタイプだから」

なんだか静雄を独りにさせたくなかった。もうこんな事しないで欲しかった。
傍に居て欲しいと思った。情報なら、まだ知り合いは居るし、どうにかなるだろう。
静雄に関わった連中も、野放しには出来ない。

「俺と一緒にいよう?ね、シズちゃん」

「…なんか、告白みたいだな…」

「そうだね…でも、男に告白なんてしたの初めてだよ…恥ずかしいな…」

「ははっ、臨也の顔真っ赤。……お、俺も、…臨也と、一緒に…居たい……」

可愛らしく恥じる静雄に、臨也は思い切り抱きついた。
これが恋なら、きっともっと愛は幸せなものなんだろう。

「ぁん!ばっか、臨也っ…おくっあたっちゃ…ひんっあ!」

「あ…ゴメンねシズちゃん…、大好き、いや…愛してるよ」

「…ッ!!」

二人して顔を赤らめた。



この先の未来は二人で歩んでいこうか。

――――――
青色様、リクエストありがとうございました!
パロという事で…案の定長くなりました、が…。
楽しく書かせていただきました!
遅くなってすみません><

リクエストありがとうございました!!



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -