・ドラマCD8巻のネタ
・刑事パロ
・ライダース(兎)×ボイルドタイガー(虎)


ok?↓




ブルリと寒さに身体が震えた。
もう何分この場に居るだろう。いや、何時間かもしれない。
冷たい風が吹けば、吸っていた煙草の煙が舞い上がる。
曇り空を見上げれば、今にも雪が降りそうだった。

「…今年は、雪、降るのか、なぁ…」

一人ポツリと呟いた。古ぼけた事務所の屋上は、ボイルドタイガーこと、鏑木虎徹のお気に入りの場所であった。
虎徹はベテランの刑事。若い頃はそれは勿論いろいろな事件に関わったりした。
独りになりたい時、考えたい事がある時、仕事で悩んでいる時。
そんな時は事務所の屋上、普段は出入り禁止であるココに来て煙草を吸っていれば、ある程度はスッキリした。
そして今も、独りでこの場所で物思いにふけっていた。
親友で仕事仲間で相棒の、ロックバイソン。彼は数年前に殉職してしまったのだが、今だに彼を忘れられない。

「……ふぅ…」

こうやってシンミリするのは悪い癖だ。妻が病気で死んだ時もそうだった。
自分の大切だと思っている相手は皆居なくなる。

「…俺、死神にでも憑かれてんのか…?」

今の仕事の相棒、ライダース。本名は知らない。それは仕事上のルールだからだ。
本名を明かさず、それぞれ個人に合ったネームで呼び合う。
虎徹も上司以外に本名は明かしていない。少しだけ想いを寄せていたロックバイソンにも教えていない。
言った所で彼は振り向いてくれるはずもないから。

「女々しい男だな、俺は」

「へぇ…先輩って女々しい男だったんですか」

「…盗み聞きとは、趣味が悪いな、ライダース」

「盗み聞きじゃありません。たまたま聞こえたんです」

振り返れば、赤いジャケットを着た男。虎徹の今の相棒、ライダース。
新人で右も左も分からなかった彼を引っ張っていたのは、先輩である虎徹であった。
初めて出来た後輩。いろいろ厳しく教えてきた。しかし今では彼はもう新人ではない。立派な一人前の刑事だった。
一人立ちをしてもいい頃なのだが、ライダースは頑なにそれを拒み、虎徹の傍、否、彼の相棒で居続けた。

「…こんな処で何してるんですか?」

「んー…ちょっと考え事。つーか、ココは俺しか知らないはずなんだけど…」

「アニエスさんに聞きました。貴方は良くココに来るって」

「はぁ…もう。俺のお気に入りの場所だったのになぁ…」

「俺が来てはいけなかったですか?」

「いや…まぁ、なんつーか…一人で考えられる場所が欲しかったからさ…他の処、探すよ」

「…俺が傍に居ては、駄目…、なんですか?」

まるで捨てられた子犬のような瞳。彼は虎徹より一回りも年下の男。
明らかにこちらに好意をもっているのは物凄く感じる。痛いぐらいに感じる。
それがいつから、なんて事は分からないが。兎に角、ライダースが虎徹に恋愛感情で好意を持っているのは明らかだった。

「駄目じゃねーけど、よ…」

「俺達、相棒…なんですよね?相談なら、俺が乗ります。それから…」

ロックバイソン先輩の事が忘れられないんですか、とライダースは虎徹を見つめる。
彼のエメラルドの瞳は少し怖い。いつの間にか心が奪われていそうで、少し恐ろしい。
可愛い後輩ではあるのだが、同時に恐ろしい。

「…そりゃまぁ…昔の相棒だし、親友でもあったからな…」

「そうじゃなくて…、俺が言っているのは…!!」

「まぁ…もう少ししたら話すよ」

「…ちゃんと話をしてくれないと怒りますからね、ボイルド先輩」

「わぁってるよ」

この歳になって恋愛なんて馬鹿げているけど、それでも本気になろうとしている自分がいる。
本気でこんな自分を好きになってくれるやつがいる。
まだまだ自分も捨てたもんじゃない、と虎徹は密かに思う。

「…ライダース、俺の事が好きなら、本気で落としにかかってこいよ」

「ええ、必ず落としてみせます。貴方の本当の名前も、絶対に聞き出して見せますから」

「プライベートでも相棒になります、ってか?頑張れよ、新人くん?」

「いつまでも新人だと舐めてると、いつか痛い目みますよ、おじさん?」

曇り空から静かに降る雪。二人はそんな天気の中、大声で笑いあった。



(…さて、そろそろつまらない事務作業に戻るか!)
(はい、先輩!)

―――――
ドラマCDネタの、ボイルドタイガーとライダース。
あれは…完全なるアニ←牛←虎←兎だったな…。
そしてバニーがおじさん相手に素直だったような…。
おじさんは物凄いダンディで仕事バリバリできる男みたいな設定だったなぁ…。
バニちゃんは一人称「俺」でしたよね。俺バニちゃん…なんか新鮮。

刑事パロでした!そして私のタイトルセンス…(´・ω・)







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