「先輩、折紙先輩から聞いたんですけど、姫始めってなんですか?」

飲んでいた眠気覚ましのコーヒーを思わず吹き出してしまった。
なんて事を新年早々聞いてくるんだろうこの男。
いや、姫始めという言葉を知っている折紙も折紙だが…。
取りあえず、ここは穏便に、勘付かれないように、話を逸らそう。それが一番良い解決方法だ。

「そうだバニー、おせち食うか?俺の手作りで悪いけど」

「それは後で頂きます。で、姫始めってなんですか」

駄目だった。諦めてくれなかった。
隣の机から身を乗り出して聞いてくる、俺の相棒のバーナビー。
なぁ…お前、もしかして意味知ってて俺に聞いてんじゃねーだろうな。
だとしたら相当質が悪い。

「…お前さ、姫始めの意味、本当に知りたい訳?」

「ええ。聞き慣れない言葉ですから。僕も少しは虎徹さんの国の言葉に興味ありますよ」

聞いたことねーけど、お前が日本の言葉に興味あるとか…。
いや、うん…意味だけなら教えてもいいよな。

「姫始めってのはな、まぁ…いろんな意味があるんだけど、一般的には男女が年初めに…せ、セックスをするっていう…」

「ふむ…大体分かりました」

嘘つけよ!絶対知ってただろ!ニヤニヤ笑いやがって…。
あーあ、俺、ちょっとやらかしたかもしんねーなぁ…。

「で、でもな!姫始めってのは一月二日に…」

「虎徹さん、今日仕事が終わったら僕の家、来てくださいね」

聞いちゃいねーな!ハンサムオーラが眩しいって…キラキラさせんなよ。
断り辛いだろうが。あんなに楽しそうに笑いやがって…。
でもそれが少し可愛いな、なんて思ってしまう辺り、俺も相当コイツに惚れてるんだろうな。
あーあ、この歳になって恋愛するのがどれだけ大変が思い知った気がする。
暗い面持ちのまま、俺は目の前のパソコンと格闘するのだった。



仕事が終わって、なんとかバニーのやつに捕まらないように会社を抜け出そうとしたのだが。

「何やってるんですか。ほら、行きますよ、おじさん」

待ち伏せされた。腕をガッチリ捕まれて、逃げ出そうにも逃げ出せない。
ああ、このまま俺はコイツの家に連行されるのか…。
ガックリと肩を落として、そのままバニーの愛用している真っ赤な車に俺は乗せられ、あっという間にコイツの家に着いた。
そのまま強制的に連行されて、夕飯も食べずにベッドの上に直行だ。
どこまで飢えているんだろうこの男。いい年して、こんなオジサンを好きになって。
将来だって有望のなのに…これが残念ハンサムというモノなのだろうか。
バニーのファンには、絶対見せたらダメな部分だな。俺、頑張ってコイツの事フォローしないと。

「おじさん、いつまで全裸でうんうん唸ってるんですか」

「全裸って何言って…って、おま!?え!?いつの間に脱がしたんだよ!?」

「いえ…なんか無抵抗だったので…つい」

気付いたら全裸だった。ついでにバニーも全裸だった。
最近自分の世界に入ると周りが見えなくなるからな…もう年なのかもしれない。
年を取るって怖いな、おい…。
やけにひんやりしたバニーの手が俺の身体を抱きしめる。

「…抱いても、いいですか?」

「脱がしておいてそのセリフはねぇよ…、ま、今年もよろしくって事で…」

「では遠慮なく」

「ええ!?」

相変わらず人の話を聞かないやつだな、全く…。
深く口付られてそのままベッドに押し倒され、グチャグチャと舌で口内を舐められる。
俺の舌を噛んで、引っ張ったり、…まるで口の中を犯されるみたいだ。
もぞもぞと身体を動かしていたら、今度はバニーの腕が俺の胸へと移動し乳首を掴まれた。
それも思いっきり強く。

「むぐっ!?んぐぅうう!!んんーッ!…っだ!!ばっか!イテェよ!!」

「すみません…手加減が出来なくて…」

「ふ、ふぅうう…はぁあ、もう…もぎ取られるのかと思った…」

「…虎徹さんって、痛いの好きじゃなかったでしたっけ?」

「誰がいつそんなドM宣言したんだよ!好きじゃねーよ!!」

おかしいな、とバニーは首を傾げる。もう、もう嫌だ…。
痛いのが好きなわけないだろ。お、俺だってソフトなのが好きだし…。
そりゃ、物足りない時は痛くされた方が気持ちよく感じる…ような気がするけど!
今はそんなんじゃねーし…。

「まぁ、なんでもいいですけど…もう挿入ていいですか?」

「はぁっ…!?せめて慣らせよ!あと、ゴム付けろ」

「慣らすのはいいですが…すみません、今日はゴム、ないんです…」

「な、なんで…」

「僕としたことが、どうやらゴミの日に間違えて捨ててしまったらしく…」

ウソだろ、と顔が真っ青になった。ゴムがないという事は…え、生…?
ちょっと待て、とバニーを静止させようとしたが、秘部にバニーの長い指がいきなり入ってきて、俺は思わず身体を弓なりにしてビクンと跳ねた。

「ぁ、が…!ちょ、ばに…っ、あんっ、ァ…!」

「すみません、もう…我慢できなくて…っ」

こんなに余裕がないバーナビーは初めて見たかもしれない。
そんなに俺の事抱きたかったのか?まぁ…久しぶりだったしな…。仕方ないか。
シーツを掴んでじんわりと襲い掛かってくる快楽に耐える。
バニーの指は俺のイイ処ばかりを選んで弄ってくる。ああ、やばい。
俺も久しぶりだから、すぐイっちまいそう。指が引き抜かれてすぐにバニーの熱いペニスが俺の中に入ってきた。

「う、ぁ、あ゛ぁあ…ッ、あ、あっ、ひ、ばに、ばにぃ…!」

「ん、ぁ……こ、てつ、さ…ぁ」

苦しい。腹が圧迫されているようで凄く苦しい。けど、やっぱり気持ちいい。
バニーのはデカいし熱いし俺の身体と相性が良いみたいで、俺の身体はすぐバニーを覚えた。
アイツのが入ってくるだけで身体はビクンビクンと喜ぶんだ。
俺は必死でバニーの身体に抱きついた。

「っ…そんなに、抱きつかれたら、…っ動けない、ですよ…」

「だ、…っだって、…ん、は、ぁ!ぅ、やぁっああ、ン」

気持ち良すぎて死にそう、なんて言えない。言ったらまたバニーが興奮するだけだ。
中で脈打つバニーを感じながら、俺は快楽に身を任せた。
前立腺をバニーが擦るたびに俺の身体はギュウギュウをバニーのペニスを締め付ける。

「んぁ!あ、あん、っぁあ、ン!ぁ、そ、な…奥ッ、…」

「…奥を突くと、虎徹さん、…僕の事、ギュウギュウ締め付けてきますよ、気持ち良いですか…?」

「っは、ぁ…きもち、い、いぃ…!ぁ、も、俺…無理っ…あぁぁッ!」

俺は簡単に果ててしまった。俺がその衝撃でバニーのを締め付けたからか、ドクドクと中に暖かい物が流れ込んだ。
バニーのやつ、中出ししやがった…。それにもビクビクと感じてしまう俺は、人の事言えないのかもしれない。
薄らとする意識の中で、俺はバーナビーの空気の読めない言葉にガックリとうなだれるのだった。

「…今年もたくさんセックスしましょうね、虎徹さん」

この年中発情兎、もうマジでどうにかした方がいいんじゃねーかな…。



取り敢えず、後で折紙に連絡してたっぷりお説教しないとな。

―――――
姫始めのお話でした^^

私のタイトルセンスの無さに絶望したorz


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